1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09450367
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
荒川 義博 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (50134490)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 鶴雄 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助手 (90215343)
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Keywords | 電気推進 / ホール効果 / 不安定現象 / プラズマ / 放電 |
Research Abstract |
近年の宇宙開発・宇宙活動の発展にともなって,より効率的でかつ耐久性の優れた推進システムの導入が必要になってきている。宇宙開発に経済性・コストダウンを優先的に要求される昨今の状況から,高比推力の電気推進機の実用化に向けての開発が世界の各国で進められている。なかでも,ホール型推進機は,発生出力の割には軽量・コンパクトで,高い推力密度と推進効率が得られるため,実用化に向けての耐久試験がNASAの研究所などで行われている。しかしながら,耐久試験を通じて明らかになったことは,高い推進効率は得られたが,放電電流の振動成分が発生しプラズマ加速部の壁に損傷を与え,長時間作動を困難とする問題が生じた。本研究では,これまでに開発してきた,振動現象の分析可能なPIC法を用いた二次元プラズマシミュレーションモデルの三次元化を計ると共に,光学計測を中心とした実験によって,推進機の耐久性に支障となる振動電流の要因を明らかにするための研究を進めた。 本年度は,前年度に引き続き,数値シミュレーションコードの開発を進めた。新規に購入した高速のパーソナルコンピュータを用いて,広範囲の作動条件のもとで,三次元数値解析を行った。これにより,いかなる条件で不安定が現れるか,また不安定を引き起こす要因は何かを調べた。また,この粒子加速モデルの妥当性を検証するため,前年度に引き続き,これまでに試作したホール型推進機を用いて,推進機内部のイオンの密度分布と空間電位の分布を調べた。さらに,静電プローブにより空間電位の時間変動を観測した。 これに加えて,1次元の理論モデルを構築して,電離不安定性が振動電流の原因になっていることを推論して,上記モデルから予測される振動数と実験で得られる振動数の比較を行い,モデルの妥当性を検証した。
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