1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09460007
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Research Institution | HOKKAIDO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
喜久田 嘉郎 北海道大学, 大学院・農学研究科, 教授 (90001445)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤野 介延 北海道大学, 大学院・農学研究科, 助手 (80229020)
幸田 泰則 北海道大学, 大学院・農学研究科, 助教授 (20002355)
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Keywords | イネカルス / 再分化 / 不定胚形成 / アブシジン酸 / ペロキシレドキシン遺伝子 / 抗酸化活性 / 乾燥誘導因子(DRE) / デヒドリン遺伝子 |
Research Abstract |
イネおよびイネ科牧草の組織培養によるカルス形成、不定芽形成や休眠芽形成についての生理学的研究によりその制御機構を明らかにした。この過程は、特異的遺伝子の発現がディファレンシャル・ディスプレイによって観察された。また、ニンジン培養細胞やイネ培養細胞の不定胚形成にも生長物質による制御が観察された。特に、イネ培養細胞の不定胚形成には、アブシジン酸(ABA)の関与を発見した。このABA誘導蛋白質の一つは抗酸化酵素蛋白質遺伝子の発現であって広く生物界に存在し活性酸素イオンラディカルによる細胞膜や酵素の不活化を阻止することが明らかとなった。 イネカルスにABAを与えると不定胚形成カルスが誘導される。このABAによって誘導されるカルスの24.5kDaの蛋白質(イネ・ペロキシレドキシン・RPer1)遺伝子について分子生物学的検討を行なった。 ペロキシレドキシンはストレス耐性因子であり、その作用は生体内で産生する活性酸素から細胞機能を保護することであると考察される。この蛋白質はチオール特異的抗酸化活性を有し、そのプロモータにABA誘導因子(ABRE)、乾燥誘導因子(DRE)を有することが明らかとなった。各種ストレスによるRPer1の発現を蛋白質、mRNAレベルにおいて検討した結果、ABAのほかNaC1,過酸化水素、乾燥、低温、によっても誘導されることが、確かめられ、両レベルとも乾燥による誘導が最も著しかった。 さらにABA誘導蛋白質の一つはデハイドリン蛋白質遺伝子の発現であって広く生物界に存在し浸透圧ストレスによる細胞膜や酵素の不活化を阻止することが明らかとなった。またヴィヴィパラス遺伝子(VP1)は種子休眠活性の制御に重要な働きをすることを示唆した。
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[Publications] 西脇 森衛: "ABAによるニンジン不定胚の誘導"日本植物学会第63回大会研究発表記録. 60. 91 (1999)
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[Publications] 斎藤 新: "無菌培養系におけるタクマギ鱗茎形成"日本作物学会紀事. 68・S2. 208-209 (1999)
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[Publications] 藤野 介延: "ソバのアレルゲンタンパク質に対する抗体の作成"日本作物学会紀事. 68・S2. 210-211 (1999)