1997 Fiscal Year Annual Research Report
水ストレス下における作物の葉の老化と根の機能の低下との関係
Project/Area Number |
09460008
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
平沢 正 東京農工大学, 農学部, 教授 (30015119)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大川 泰一郎 東京農工大学, 農学部, 助手 (80213643)
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Keywords | 光合成 / サイトカイニン / 出液速度 / 硝酸態チッ素 / 土壌水分 / 緑色程度 / 根 / 老化 |
Research Abstract |
本年度は水ストレスによって葉の老化が促進されことに根が関与しているかどうかを検討し、次のことがわかった。 1.低土壌水分条件に生育するトウモロコシは湿潤土壌に生育するトウモロコシに比較して、葉の緑色程度と光合成速度が減少し、葉の老化が促進されることが確かめられた。低土壌水分条件に生育するトウモロコシは湿潤土壌に生育するトウモロコシに比較して、茎基部からの出液速度が低く、サイトカイニン濃度、硝酸態窒素濃度が低い傾向があり、したがって、根から地上部に送られるサイトカイニン量、窒素量が少ないことが推察された。 2.低土壌水分条件下で葉の老化が促進されことによって根の機能が低下することが関係していると考えられた。そこで、葉の水の通導抵抗が著しく大きいことによって、湛水状態でも葉の水ポテンシャルが著しく低下して萎凋する水稲品種金南風の突然変異株(以下CM)と金南風を供試し、湛水状態に生育するCMと低土壌水分条件に生育する金南風の葉の老化を比較した。その結果、同程度に葉の水ポテンシャルが低下してもCMは金南風に比較して、出液速度が大きく、老化による葉の緑色程度の減少が明らかに小さかった。 以上の結果から、低土壌水分条件で葉の老化が促進されることには根の機能が低下することが関係していると考えられ、とくに土壌水分が低下することによって根から地上部に送られるサイトカイニン量、窒素量が低下することが関係していると推察された。
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[Publications] 平沢正: "水ストレスに対する植物の生理生態的反応" 日本作物学会紀事. 66巻(別2). 355-360 (1997)
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[Publications] 平沢正: "出穂前約1ヶ月間の土壌水分条件がコムギの乾物生産と生理生態的性質に及ぼす影響" 日本作物学会紀事. 66巻(別2). 167-168 (1997)
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[Publications] Hirasawa,T.: "Effects of pre-flowering soll moisture deficits on dry matter production and ecophysiological characteristies in soybean plants under well jrrigated conditions during grain filling" Plant Production Science. 1. 8-17 (1998)
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[Publications] 徐銀発: "多収性品種タカナリの光合成特性の解析" 日本作物学会紀事. 66巻(別4). 616-623 (1997)
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[Publications] 大川泰一郎: "水稲の登熟期における出液中サイトカイニンおよび無機態窒素の変化-日本晴れとアケノホシとの比較-" 日本作物学会紀事. 66巻(別2). 125-126 (1997)
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[Publications] 大川泰一郎: "ダイズ品種エンレイとタチナガハの葉の老化が異なる要因の解析-接木法を用いて-" 日本作物学会紀事. 66巻(別2). 163-164 (1997)