1998 Fiscal Year Annual Research Report
C_3植物とC_4植物の相同組織の機能分化に関する比較形態学的研究
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09460009
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
三宅 博 名古屋大学, 農学部, 助教授 (60134798)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
武岡 洋治 名古屋大学, 農学部, 教授 (70023455)
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Keywords | 維管束鞘 / 金コロイド / C_3植物 / C_4植物 / 走査型電子顕微鏡 / 反射電子像 / 免疫電子顕微鏡 / 葉緑体 |
Research Abstract |
昨年度反射電子像観察装置を取り付けた走査型電子顕微鏡を用いることによって、走査型電子顕微鏡レベルでの金コロイド免疫電子顕微鏡観察が可能となったが、Rubiscoなど葉緑体内部に存在する酵素タンパク質は、葉緑体の断面が露出している部分でないと検出できなかった。そこで極性脂質を溶解する各種溶媒を比較検討し、葉緑体包膜の除去を試みた。その結果、パラホルムアルデヒドで固定した葉切片をクロロホルム:メタノール:蒸留水=1:2:0.8の溶液で1時間処理することにより葉緑体包膜をほぼ完全に除去することができ、またRubiscoの抗原性もほとんど失われることはなく、抗体処理後金コロイドは維管束鞘葉緑体のほぼ全面に結合した。同混合液を10分間処理した場合には、葉緑体表面の所々に包膜の消失部がみられ、抗体処理後金コロイドはこの部分に結合した。したがって包膜を除去する方法は、オルガネラ内部に存在するタンパク質を、走査型電子顕微鏡を用いた金コロイド免疫染色法で観察する場合に有効であると考えられた。維管束鞘を持たず、表皮下2層目にPCR細胞が分化する多肉質C_4植物であるオカヒジキにおいて、表皮が分化した後、表皮下1層目の細胞に並層分裂が起こり、外側の細胞が葉肉細胞に、内側の細胞がPCR細胞に分化するとともに、PCR細胞は表皮下2層目の細胞の並層分裂によっても供給されることが明らかになった。また貯水細胞は中心部の前形成層の周囲および周辺部の前形成層の周囲の細胞に由来すること、中心部に由来する貯水細胞の方が先に成熟することが明らかになった。金コロイド免疫電子顕微鏡法でRubiscoの蓄積を調べると、成熟葉ではPCR細胞>貯水細胞>葉肉細胞の順であったが、葉肉細胞では発達過程で一時的にRubiscoが蓄積し、その後減少することが明らかになった。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] Mastuti,R.,et al.: "Ultrastructure of fusion product between protoplasts from C_3 and C_4 species of Amaranthaceae." Plant Prod.Sci.1(1). 67-74 (1998)
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[Publications] Mastuti,R.,et al.: "Ultrastructure of hybrid callus between C_3 and C_4 species of Amaranthaceae." Plant Prod.Sci.1(2). 136-144 (1998)
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[Publications] Mariani,T.S.,et al.: "Changes in surface structure during direct somatic embryogenesis in rice scutellum observed by scanning electron microscopy." Plant Prod.Sci.1(3). 223-231 (1998)
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[Publications] Sato,T.,et al.: "Ultrastructural analysis of electro-fused protoplasts from pansy and wild viola by scanning electron microscopy." Plant Prod.Sci.1(4). 288-295 (1998)
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[Publications] Nomura,M.,et al.: "Transgenically produced glycinebetaine protects ribu lose 1,5-bisphosphate carboxylase/oxygenase from inactivation in Synechococcus sp.PCC7942 under salt stress." Plant Cell Physiol.39. 425-432 (1998)
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[Publications] Sugimoto,K.,et al.: "Somaclonal variation in regenerants derived from anther culture of rice (Oryza sativa L.)" Plant Prod.Sci.2(1) (in press). (1999)
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[Publications] 三宅博: "根の事典" (根の事典編集委員会編)朝倉書店 (分担), 22-24 (1998)