1998 Fiscal Year Annual Research Report
カンショの塊根形成過程におけるスクローストランスポーターの役割に関する研究
Project/Area Number |
09460010
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
斎藤 和幸 九州大学, 農学部, 助教授 (00215534)
|
Keywords | カンショ / スクローストランスポーター / 遺伝子発現 / 塊根形成 |
Research Abstract |
スクローストランスポーターは細胞膜に存在し,H^+の濃度勾配に依存してスクロースを輸送するタンパク質でアポプラストを介したスクロースの輸送に関与していると考えられている.本研究ではカンショに特に塊根形成過程におけるスクロースの輸送経路を明らかにするため,スクローストランスポーターのcDNAの特徴と発現様式について検討した. カンショの塊根には少なくとも3種類のスクローストランスポーター(それぞれのcDNAをIBSUTl,IBSUT2及びIBSUT3と名付けた)が存在し,IBSUTlとIBSUT2は69%,IBSUT2とIBSUT3は73%,IBSUTlとIBSUT3は67%の相同性を示した.また,ジャガイモのスクローストランスポーターのcDNAと比較するとIBSUTlは65%,IBSUT2は71%,IBSUT3は73%の相同性を示した,IBSUTl,IBSUT2及びIBSUT3をプローブとしたノーザンプロット分析ではそれぞれ約3.1kb,約2.4kb及び1.6kbの位置に一本のバンドが検出され,スクローストランスポーターの種類によってmRNAの大きさが異なった.また,IBSUTlのmRNAはすべての器官でほぼ一定のレベルであったが,IBSUT2のmRNAレベルは葉柄と若根で高く,IBSUT3のmRNAレベルは葉柄で著しく高かった.さらに,IBSUT2とIBSUT3のmRNAレベルは塊根形成にともなって低下したが,IBSUTlのmRNAは塊根形成過程を通じて一定のレベルを維持した. 以上の結果から,サツマイモの根には少なくとも3種類のスクローストランスポーターが存在し,塊根形成過程においてmRNAレベルが一定であるものと低下するものに分かれることが明らかとなった.
|
Research Products
(3 results)
-
[Publications] 占部敦子: "サツマイモ塊根からのショ糖トランスボーターcDNAの特徴" 日本作物学会紀事. 第67巻・2号. 138-139 (1998)
-
[Publications] 菊池真美子: "サツマイモ(Ipomoea batatas Lam.)のプロテインホスファターゼタイブ2AのcDNAクローニングと発現様式" 日本作物学会紀事. 第67巻・2号. 136-137 (1998)
-
[Publications] 坪根正雄: "スクロースの茎内注入がサツマイモ塊根の肥大に及ぼす影響" 日本作物学会紀事. 第67巻・2号. 140-141 (1998)