1998 Fiscal Year Annual Research Report
種間F1雑種の農学的形質ならびに利用の可能性に関する研究
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09460012
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
角 明夫 鹿児島大学, 農学部, 助教授 (70154622)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平尾 健二 九州大学, 農学部, 助手 (70301348)
窪田 文武 九州大学, 農学部, 教授 (50136602)
片山 忠夫 鹿児島大学, 名誉教授
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Keywords | F1雑種イネ / F2種子 / 乾物生産力 / クロロフィル蛍光 / 個葉光合成能力 / ヘテロシス / 水ストレス / 無機栄養利用効率 |
Research Abstract |
作出したアフリカイネとO.Sativa、O.Perennis、0.spontanea、0.breviligulataとのF1雑種のいずれでも乾物生産力におけるヘテロシスが認められ、またその程度はSeries Sativaに属する3種とのF1雑種においてより顕著であった。これらの組み合わせの中からF2種子を得ることにも成功した。 低窒素下でも、種間F1雑種は、高い葉面積拡大能カと窒素当たりの光合成能カの両要因に支えられて、乾物生産力において超優性的なヘテロシスを示した。さらにF1雑種を正逆交雑系統間で比較した場合、低栄養条件下での葉への窒素分配および葉面積拡大能カに関しては母系の形質の影響がより強く現れた。窒素欠乏状態からの回復能力について比較・検討したところ、相対生長率において顕著なヘテロシスが認められた。また正逆F1雑種間に違いが認められ、母系の形質の影響がより強く発現した。 種間F1雑種の光合成反応における光化学系の能力を評価するために、クロロフィル蛍光消光の測定を改良すると共にガス代謝(光合成)測定との同時測定法を考案した。イネを用いた測定には多くの経験と工夫を要することから、これまでモデル植物として用いてきたマングビーンを材料に予備実験を実施した。その結果、ガス代謝速度を光化学系のエネルギー収支の面から捉えることが可能となり、また光化学系、炭酸固定系、光呼吸系の3者の相対的なバランスを推定する方法を確立できた。 種間F1雑種の乾物生産・光合成における水ストレス抵抗性を圃場条件下で検討した。その結果、マイルドな土壌乾燥条件下において、乾物生産カに超優性的なヘテロシスが認められた。F1雑種は出液速度におけるダメージが小さく、またこのようなF1雑種の特性には上層部における根系密度が高いことに加え、より深くまで根が分布していることが関与していると推測された。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Akio SUMI: "Studies on Agronomic Traits of African Rice (Oryza glaberrima Steud. ) IV. Changes in growth, dry matter productivity and yielding ability related to domestication from wild to cultivated form" Plant production Science. 1(3). 199-206 (1998)
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[Publications] Teruhiko KAWAHARA: "Interspecific Difference in Growth Perenniality in Rice Cultivars, Oryza sativa L. O. glaberrima Stend." J.Fac. Agric., Kyushu Univ.42(3・4). 315-323 (1998)
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[Publications] Shinji TOKUDA: "Effects of Leaf Epidermis Peering on the CO2. Exchange Rate and Chlorophyll Fluorescence Quenclung and Estimation of Photorespiration Rate from Electron Transport in Mungbean (Vigna radiata (L. ) Wilezeck) Leaves." J.Fac. Agric., Kyushu Univ.43(3・4)(発表予定). (1999)
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[Publications] 平尾健二: "ガス代謝速度とクロロフィル蛍光消失の同時測定について 〜マンクビーン個葉を用いた測定例〜" 日本作物学会紀事. 68(別1)(発表予定). (1999)
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[Publications] 平尾健二: "光化学系生産エネルギーレベルから見た光呼吸の試算 〜マンクビーン個葉の光合成・光呼吸の検討〜" 日本作物学会紀事. 68(別1)(発表予定). (1999)
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[Publications] 高村泰雄・重田眞義編: "アフリカ農業の諸問題" 京都大学学術出版会, 363 (1998)