1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09460016
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
杉山 信男 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (30012040)
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Keywords | 相変化 / レタス / 葉の屈曲 |
Research Abstract |
レタスの葉の形態や機能の違いを基に,植物の発育の相変換が起こる時期を推定しようと試みた。このため,比較的早く球を形成するクリスプヘッド型レタスと球形成の遅いバタ-ヘッド型レタスを昼温23°C,夜温17°Cの人工気象室で栽培し,それぞれの葉の形,屈曲程度,分化葉数,展開葉数の経時変化を調査した。クリスプヘッド型レタスでは分化葉数28枚,バタ-ヘッド型レタスでは40枚を境に分化葉数に対する展開葉数の比が上昇した。両型とも葉長と葉幅の比は葉数の増加とともに低下したが,クリスプヘッド型レタスでは第13葉の葉茎比が1を下回った播種後42日目に第16〜19葉で葉の屈曲が認められ,48日目に結球が開始した。バタ-ヘッド型レタスでは第29葉の葉茎比が1を下回った播種後51日目に第24〜29葉で屈曲が認められたが,実験終了時まで結球は認められなかった。また,11枚目の葉がっそれぞれ2cmになった時,11枚目以降の葉に黒い紙袋を被せて遮光したところ,クリスプヘッド型では遮光の有無に関わらず,11枚目以降の葉では屈曲が起こり,球を形成した。一方,バタ-ヘッド型レタスでは遮光処理をした場合のみ葉の屈曲が起こったが、球の形成は見られなかった。したがって、葉の形、光に対する屈曲反応という点から見て、レタスでは葉位10〜12枚目、サラダナでは20枚程度を境に幼若相と成熟相とが区分されると推論した。しかし、葉の形や暗黒下での屈曲の程度に見られる変化は,相に特異的な変化ではなく、むしろ体内の生理的な変化の反映である可能性も否定できない。この点を明らかにするためには、葉の形以外に相変化と一致して2相的な変化を示す特性を見いだす必要がある。
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