1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09460016
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
杉山 信男 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (30012040)
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Keywords | 相変化 / 花芽分化 / 夜冷処理 / イチゴ |
Research Abstract |
多くの植物は一定のの大きさに達しないと、花芽を分化しない。そこで、一定の大きさに達するまでの時期を幼若相、花芽分化の能力を獲得するようになった時期を成熟相と呼んで区別する。木本植物では、果実を早く生産するため,成熟相に早く転換させることが重要である。しかし,多年生草本植物では,成熟相にある植物と幼若相にある植物の花成促進処理に対する反応の違いは明らかになっていない。そこで,この点を明らかにすることを目的に以下の実験を行った。16時30分から翌朝7時までイチゴ'とちおとめ'のランナー苗を15℃の冷蔵庫に3週間入れて,花芽分化させた。対照として,夜冷処理を施していないランナー苗を供試した。9月8日に1.5 1のポットに移植し,翌日,夜冷処理を施した個体と施していない個体の各半数について,茎頂をメスで切除した。残り半数は茎頂を切除せず,そのまま日長15時間,昼温25,夜温20℃の温室で栽培を続けた。これら4処理の固体について,7週間にわたり,花芽分化の状況を調査した。花芽分化の有無に関わらず,茎頂を切除すると,新たな茎頂を形成した。しかし,花芽の形成には差が認められ,花芽分化後,茎頂を切除した植物体では,長日,高温の条件下においても約1か月後に花芽の分化が確認できた。一方,花芽を分化していない個体では,茎頂を切除すると実験終了時まで花芽の分化は起こらなかった。これらの結果は栄養生長から生殖生長への転換が起こると,花芽分化が起こりやすい体勢になることを示していると考えられる。
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