1998 Fiscal Year Annual Research Report
昆虫神経細胞の培養とそれを用いた神経作用性物質の作用機構に関する研究
Project/Area Number |
09460023
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Research Institution | UNIVERSITY OF TSUKUBA |
Principal Investigator |
本田 洋 筑波大学, 農林学系, 助教授 (90126160)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
永田 啓一 筑波大学, 農林学系, 講師 (40282321)
戒能 洋一 筑波大学, 農林学系, 講師 (20183775)
岩淵 喜久男 東京農工大学, 農学部, 助教授 (00203399)
正野 俊夫 筑波大学, 農林学系, 教授 (80011922)
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Keywords | 植物有毒成分 / アニサチン / 9.4-オクタデセン酸 / イオンチャネル / 作用機構 / 神経毒 / 神経細胞 / 細胞培養 |
Research Abstract |
昆虫神経細胞の培養に必要な培養条件を検討するとともに、合成あるいは天然植物由来の神経作用性物質の作用機構を電気生理学的手法で解析し、以下の知見を得た。 イエバエ3令幼虫中枢神経細胞の長期培養法の確立を目的とし、各種培地および抗生物質、培養容器などの条件を比較検討した。酵素処理等により分離した神経細胞について生存期間、軸索伸長の有無と程度、伸長開始までの期間などを調べた。培地間で差異は認められなかったが、軸索伸長と生存期間はM3/IPL41培地とLM3培地では良好であった。また、Schneider培地からbacteriological peptoneを抜いたは細胞の状態が最も良好であった。培養神経細胞の生存率は、細胞密度が高い場合には20-30%、低い場合では、数%であった。生存期間はおおむね90日、最長では140日であった。成虫神経細胞の軸索、樹状突起の出現はいずれも6-12日目以降に見られた。セリン、グルタミン酸、牛胎児血清の添加の効果を調べたが、軸索伸長、生存期問いずれにも効果は認められなかったが、インシュリンの添加で培養結果が改善した。 有毒植物シキミのネッタイシマカ幼虫に対する毒性を調べその活性成分の部分精製を行った。活性成分はアニサチン類であり、そのEC50値は43.7μgml^<-1>であった。アニサチンはネズミの神経細胞のホールセルイオン電流を濃度依存的に抑制した。また抑制作用はピクロトキシンと相互作用を示した。アニサチンはイオンチャネルの開頻度が減少させた。以上からアニサチンはイオンチャネルに対して抑制的に作用する神経毒であることが明らかになった。前年度に引き続き熱帯ヤムの有毒成分の分離とその作用機作を検討し、新たに摂食阻害活性と殺虫活性を有する9,4-オクタデセン酸を分離同定した。
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Research Products
(1 results)