1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09460025
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
岩淵 喜久男 東京農工大学, 農学部, 助教授 (00203399)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平岡 毅 東京農工大学, 農学部, 助手 (10238339)
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Keywords | acetylcholinesterase / mosquito / insect cell line |
Research Abstract |
昆虫の培養細胞のなかにはacetylcholinesterase(AChE)を生産するものが知られており、なかでもショウジョウバエの細胞系Kc細胞は古くからその生産能が知られている。この細胞系ではエクダイソンの培地への添加により細胞の形態が神経細胞様に変化し、同時にAChEの合成がはじまる。今回、ヒトスジシマカ新生幼虫由来の細胞系NIAS-AeAl-2を用いてAChEの生産の有無、ならびに細胞の生理的状態との関係について検討した。その結果、本細胞系では常にAChEの生産が見られ、合成とともに培地中への分泌が起こっていることが示された。さらに昆虫ホルモンとの関係を調べたところ、20ーhydroxyecdysone(20HE)の添加では、Kc細胞にみられるような細胞の形態的変化は認められなかったものの、タンパク質分泌量の低下とともにAChEの分泌量の低下が起こった。一方、JHに対しては、タンパク質の分泌量に変化は見られないものの、AChEの分泌量で低下が引き起こされた。なお、細胞の増殖とAChEの生産量との間には関係は認められなかった。また、本細胞系の細胞は付着性が強く、細胞移植時には培養容器の底面に単層で付着した状態で増殖する。しかし、その後、細胞密度が高くなるにつれコロニーの形成が起こり、この時期にAChE生産の状況を活性染色法により観察した。三次元解析装置を用い調べたところ、付着した細胞ではAChE活性が低く、コロニーを形成した細胞中に形態が球形で、AChEを細胞内に多量に含む細胞の存在することが明らかとなり、コロニー形成とAChE生産との間に何らかの関係のあることが示唆された。
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