1998 Fiscal Year Annual Research Report
カイコ硬化病菌飢餓ストレス遺伝子群の発現調節による感染メカニズムの解明
Project/Area Number |
09460033
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Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
清水 進 京都工芸繊維大学, 繊維学部, 教授 (20187454)
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Keywords | カイコ / 硬化病菌 / 飢餓ストレス / 遺伝子 / 発現 |
Research Abstract |
カイコ硬化病菌は機械的圧力とクチクラ分解酵素の作用によりカイコ表皮を突破する。これらの酵素群は一種のカタボライト・リィプレションとフィードバック機構によって制御されていると推定される。そこで、本年度は黒きょう病菌(Metarhizium anisopliae)を用いPr1(エステラーゼ様セリンプロテアーゼ)遺伝子の塩基配列を決定するとともに多くの菌株のpr1遺伝子をPCRで増幅後、各種制限酵素で処理しRFLP分析を行った。 St Legerら(1992)はvar.anisopliare ME1株のPr1遺伝子塩基配列をcDNAより決定しており、そこから予想される塩基数は1100bpとなった。本実験で増幅されたPCR産物の電気泳動では約1300bpに鮮明なバンドを確認した。そこで、5940株の塩基配列をダイレクトシーケンスで決定したところ、3カ所にイントロンの存在が確認された。次に、PCR産物を各種制限酵素で消化後、電気泳動を行い、フラグメントの比較検討を行った。根井(1990)の方法によって分岐価を求め、UPGMAで類似度関係図(系統樹)を作成した。M.anisopliae var.anisopliae(ME1,549,2038および8556株)とvar.majus(978,1946および2151)に大別された。var.anisopliaeの3菌株はタイワンカブトムシに特異的に感染する菌株であることから、Pr1遺伝子と同菌株の宿主特異性との相関はある程度予想されるが、その詳細については今後さらに追求するつもりである。また、ME1株は分離場所がアメリカ、549株はブラジルと両菌株は他と比べ地理的に近いが、5940および8556株の両株は日本由来であるにも関わらず、推定された系統樹ではそれぞれ異なったグループを形成した。特に、5940株はvar.anisopliaeのグループよりもvar.majusのグループとの類似度が高く、同株の菌学的な性状調査が急務になった。
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