1997 Fiscal Year Annual Research Report
脂溶性ビタミンA、Dの遺伝情報を介した分子メカニズムの解明
Project/Area Number |
09460044
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
加藤 茂明 東京大学, 分子細胞生物学研究所, 助教授 (60204468)
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Keywords | 標的組換えマウス / リン酸化 / transient expression assay / VDR欠損マウス / クル病 / 標的遺伝子群 / Diffential Display 法 / ビタミン欠乏動物 |
Research Abstract |
本研究では以下の4点に焦点を当て、標的組換えマウスなどの分子生物学的手法を用いて、今まで知られていなかったビタミンA、Dの核内レセプターの機能を明確にするとともに、レセプターと相互作用する共役因子群の性状を明らかにすることを試みた。 1.ビタミンA、D核内レセプターの機能領域の同定とリン酸化による機能調節:6種のビタミンAレセプター(RARα、β、γ、RXRα、β、γ)及びビタミンDレセプター(VDR)の2つの転写促進領域を、動物培養細胞の発現ベクターをtransient expression assayによりその機能を探った。またリン酸化による転写促進能機能の調節機能が、RAR、RXR、VDRに存在するか否かを検討した。 2.ビタミンDレセプター欠損マウスの作出と表現型の解析:既に標的組換えによるVDR欠損マウスの作出に成功し、その表現型を解析した。具体的には重篤なクル病を呈しており、骨形成、皮膚などに明らかな異常が認められた。現在この異常が如何なる要因によるものなのかを細胞レベル及び遺伝子レベルで解析している。 3.新たなビタミンA、D標的遺伝子の検索:上記のレセプター欠損マウスでは、ビタミンAあるいはビタミンDの標的遺伝子の発現が極端に変化していると予想されているため、この標的遺伝子群の発現の差に着目し、RT-PCRを利用したDiffential Display法を用いて標的遺伝子cDNAの単離・同定を試みた。更に得られたcDNA断片をプローブとして全長cDNAの取得を試みた。 4.ビタミンA、Dレセプター欠損マウスにおけるビタミンA、Dの代謝:レセプター欠損マウスは究極のビタミン欠乏動物であるため、これら生合成・代謝酵素活性は大きく変動していると考えられる。そこでこれらのマウスに活性型または代謝型のビタミンを投与し、その生体内での動態を探り、動態を経時的に迫ることで、各種酵素の性状を明らかにしている。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] Takeyama,K., Kato,S., et al.: "25-Hydroxyvitamin D_3 1α-hydroxylase and vitamin D synthesis." Science. 277. 1827-1830 (1997)
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[Publications] Yoshizawa,T., Kato,S., et al.: "Impaired bone formation and uterine hypoplasia with growth retardation after weaning in mice lacking the vitamin D receptor." Nature Genetics. 16. 391-396 (1997)
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[Publications] Fujii,H., Kato,S., et al.: "Metabolic inactivation of retinoic acid by a novel P450 differentially expressed in developing mouse embryos." EMBOJ.16. 4163-4173 (1997)
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[Publications] Yamauchi,J., Kato,S., et al.: "Two forms of avian(chicken)TATA-binding protein mRNA generated by alternative polyadenylation." Biochem.Biophys.Res.Commun.234. 406-411 (1997)
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[Publications] Kitanaka,S., Kato,S., et al.: "A new compound heterozygous mutation in the 11β-hydroxysteroid dehydrogenase type 2 gene in a case of apparent mineralocorticoid excess." J.Clin.Endocrinol.Metab.82. 4054-4058 (1997)
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[Publications] Endoh,H., Kato,S., et al.: "Rapid activaion of MAP Kinase by estrogen in the bone cell line." Biochem.Biophys.Res.Common.235. 99-102 (1997)
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[Publications] 加 藤 茂 明: "内分泌・代謝疾患(別冊・医学のあゆみ):ステロイド受容体スーパーファミリー" 医歯薬出版株式会社, 566 (1997)
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[Publications] 加 藤 茂 明: "炎症と抗炎症戦略:ステロイド薬・基礎" 医薬ジャーナル社, 831 (1997)