1997 Fiscal Year Annual Research Report
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09460045
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
吉田 稔 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助教授 (80191617)
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Keywords | トリコスタチン / レプトマイシン / ヒストンアセチル化 / 核外移行 / クロマチン / 細胞周期 / CDK / CRM1 |
Research Abstract |
ヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)の阻害剤であるトリコスタチンA(TSA)処理によってクロマチンは高アセチル化される。この時特異的に誘導される細胞周期関連遺伝子をRT-PCRによって解析した。その結果、著しく発現が上昇するものとしてCDKインヒビターであるp21、ゲルゾリンを同定し、一方発現が減少するのもとしてサイクリンD1を見いだした。これらの変化は蛋白レベルでも認められた。さらにp21の発現は、TSA処理による高アセチル化ヒストンの蓄積、細胞周期停止、TSA除去によるアセチル化の減少と細胞周期の回復と完全に一致しており、TSAによる細胞周期停止の原因であると考えられた。また、分裂酵母のTSA感受性遺伝子の解析から、HDACをコードする出芽酵母RPD3と相同な新規遺伝子phd1^+をクローン化した。phd1破壊株は生育可能だったがTSA感受性を示し、減数分裂に欠損を示した。以上の結果からクロマチンのアクセル化は、特定の遺伝子の発現調節にのみ影響を与えることが示された。 細胞周期期進行を阻害し、分裂酵母の染色体構造異常を引き起こすレプトマイシンの分子作用機構を解析した。すでに分裂酵母の遺伝学的解析から、その標的分子は機能不明の必須遺伝子産物CRM1であることを示していたが、さらに今回CRM1の機能を分子レベルで解明するために、CRM1ヒトホモログをクローン化し、その機能を解析し次の結果を得た。(1)CRM1は真核生物において高度に保存されヒトCRM1は酵母の変異を相補できる。(2)ヒトCRM1は全ての臓器で普遍的に発現し、細胞周期による転写制御を受ける。(3)CRM1は蛋白質の核外輸送の必須因子であり、核外輸送シグナルNESと結合する。(4)レプトマイシンはCRM1と直接結合しその核外輸送機能を特異的に阻害する。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] M.Yoshida et al.: "Biochemical differences between staurosporine-induced apoptosis and premature mitosis" Experimental Cell Reseach. 232. 225-239 (1997)
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[Publications] N.Kudo et al.: "Molecular cloning and cell cycle-dependent expression of mammalian CRM1,a protein involved in nuclear export of proteins" Journal of Biological Chemistry. 272. 29742-29751 (1997)
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[Publications] M.Fornerod et al.: "CRM1 is an export receptor for leucine-rich nuclear export signals" Cell. 90. 1051-1060 (1997)
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[Publications] M.Fukuda et al.: "CRM1 is responsible for intracellular transport mediated by the nuclear export signal" Nature. 390. 308-311 (1997)
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[Publications] H.J.Kwon et al.: "Suppression of morphological transformation by radicicol is accompanied by enhanced gelsolin expression" Oncogene. 15. 2625-2631 (1997)
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[Publications] K.Kasahara et al.: "Identification of preassin as a selective inhibitor for cell growth of the fission yeast ts mutants defective in cdc2-regulatory genes." Journal of Autibiotics. 50. 267-269 (1997)