1997 Fiscal Year Annual Research Report
腸管上皮細胞層の物質輸送・シグナル変換機能を調節する食品因子の解析
Project/Area Number |
09460060
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
清水 誠 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (30114507)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡辺 寛人 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助手 (20270895)
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Keywords | タイトジャンクション / 輸送担体 / 腸管上皮細胞 |
Research Abstract |
腸管上皮の3つの機能,すなわち,(1)バリアー機能,(2)輸送・透過機能,(3)情報伝達機能と食品成分の関わりについて知るために,ヒト腸管由来培養細胞を用いた実験系によって、(1)腸管のタイトジャンクション(TJ)の機能に影響を及ぼす食品素材,(2)栄養素輸送担体、特に糖およびタウリン輸送担体の活性を調節する食品素材,(3)上皮細胞層を介したシグナル変換を引き起こす食品成分の検索と分析を行なった。 1.TJでの透過性と良い相関を示すことが知られている経上皮電気抵抗値(TEER)の測定によってTJ透過性に影響する成分の検出を試みた。ヒト腸管由来Caco-2細胞の単層培養系を用い,野菜類等から数種のTEER低下活性を見いだした。特に,細胞単層のTJを開き,物質透過性を昂進する作用を持っている蛋白質をキノコから単離することに成功し,現在その構造解析と作用機構の解明を進めている。 2.腸管に存在する糖輸送担体,SGLT及びGLUTの輸送活性を調節する成分を食品中に検索し,緑茶中にグルコース輸送の抑制物質を見出した。その活性の一部はある種のカテキン類によることを明らかにするとともに,それ以外にも強いグルコース輸送阻害を持つ新規成分を発見し,現在その構造を解析中である。また,タウリン輸送担体の調節活性を示す成分をゴマ抽出物中に見出し,これらがある種のリゾリン脂質であることを明らかにした。 3.Caco-2細胞層の粘膜側に添加した場合,基底膜側に何らかの物質を分泌するような食品成分の検索を進めており,初年度はそのための実験系の構築を進めている。
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