1997 Fiscal Year Annual Research Report
針葉樹(裸子植物亜門球果植物綱)のDNA分類・系統学的研究-DNA塩基配列情報に基づく分類体系の再構築-
Project/Area Number |
09460070
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
白石 進 九州大学, 農学部, 助教授 (70226314)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
植村 和彦 国立科学博物館, 地学研究部, 研究員 (50000138)
鈴木 三男 東北大学, 大学院・理学研究科, 教授 (80111483)
高田 克彦 九州大学, 農学部, 助手 (50264099)
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Keywords | 針葉樹 / 球果綱植物 / 植物分類 / 系統樹 / 葉緑体DNA / rbcL / atpA / petA |
Research Abstract |
葉緑体DNA上の複数遺伝子のDNA塩基配列情報を用いて、針葉樹類の系統進化解明を行った。 1.針葉樹全体の系統進化の解明:供試樹種として、イチイ科、マキ科、イヌガヤ科、マツ科、コウヤマキ科、スギ科、ヒノキ科、ナンヨウスギ科の8科21属21種を用いた。また、outgroupとしてソテツ(ソテツ綱)とイチョウ(イチョウ綱)を使用した。これらの樹種のatpA、petA、rbcLの3遺伝子(約3,000bps)の塩基配列を決定した。得られた塩基配列情報を最尤法等で解析した結果、従来考えられてきた系統進化説とは異なる新知見が得られた。その主な点は、(1)針葉樹類をマツ目とイチイ目に分ける従来の分類体系には誤りのあること、(2)針葉樹類の中で、マツ科が最も早い時期に分岐したこと、(3)ヒノキ科は、スギ科の一部(スギのグループ)から分岐しており、両科を一つの科とすべきことである。 2.ヒノキ科における系統進化の解明:11属23種を対象として、上記3遺伝子のDNA塩基配列を決定した。データ解析の結果、これまでヒノキ属に含められていたアラスカヒノキ(Chamaecyparis nootkatensis)は、イトスギ属(Cupressus)に分類するのが妥当であることが判明した。また、レイランドサイプレス(Cupressocyparis leylandii)はアラスカヒノキとモントレーサイプレス(Cupressus macrocarpa)との属間雑種とされていた。DNA解析の結果、レイランドサイプレスは、両種の雑種であることが確認されたが、前述の結果から、属間雑種ではなく、単なる種間雑種であることが明らかとなった。 3.マツ科における系統進化の解明:マツ科を構成する9属(19種)を対象として、葉緑体DNA上の6遺伝子領域(上記3遺伝子とrpoA、rps2、rps3)の塩基配列を決定した。
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[Publications] 磯田圭哉・白石 進: "PARDによるモミ・ウラジロモミ識別マーカーのスクリーニング" 日本林学会九州支部研究論文集. 51(印刷中). (1998)
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[Publications] 渡辺敦史・白石 進: "PARD分析を用いた東アジア産マツの系統関係の解明" 日本林学会九州支部研究論文集. 51(印刷中). (1998)
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[Publications] 白石 進: "DNAが語るマツの来た道 -進化と系統分類-" 林木の育種. 185. 31-35 (1997)