1998 Fiscal Year Annual Research Report
改良個別要素法による木構造物の地震等による破壊プロセスの解析
Project/Area Number |
09460072
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
太田 正光 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (20126006)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉原 浩 島根大学, 総合理工学部, 助教授 (30210751)
槌本 敬大 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助手 (00261959)
有馬 孝禮 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (10144057)
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Keywords | 改良個別要素法 / 木質構造体 / 倒壊プロセス / 接合部 / 動的負荷 / 枠構造 / 破壊過程 / シミュレーション |
Research Abstract |
前年度に引き続き、本年度は、数種の接合金物を用いた土台ー柱間の接合部の引っ張り試験を、さまざまな負荷速度において周到に行った。地震動のような高速の負荷を受ける場合と、実験室レベルでの荷重試験機による静的負荷試験とでは、接合部の破壊形態に違いがあることが判明した。また、荷重-変位曲線も異なることがわかった。速度が上がると最大荷重は増加するが、金具部分での変形が減少し、土台が割れやすくなり、接合部として脆性的な破壊を示すようになり、衝撃エネルギーの吸収能力が落ちる。この破壊過程を改良個別要素法によってシミュレートするプログラムを開発し、高速ビデオカメラを用いた観察結果と比較検討した。その結果、改良個別要素法は接合部の破壊過程をかなり良く再現できることが判明した。 次の過程として、木質軸組構造体の倒壊過程のシミュレーションに着手した。2次元平面内のモデルで、枠状構造体の土台部分に動的負荷が作用した場合を軸状エレメントを用いた改良個別要素法によりシミュレートした結果、枠状構造が平行四辺形に変形しながら倒壊していくプロセスをうまく再現できることが判明した。このプロセスは振動台の上での模型実験との比較を行って確認した。このことから、改良個別要素法をさらに拡張して、3次元の軸組構造モデルのシミュレーションを試みた。その結果、筋交いを有する枠状壁と、無い枠状壁とで動的負荷に対する倒壊プロセスが違うことなどがうまく再現できた。これらの成果から、本研究で開発した解析手法は木構造物の地震力に対する挙動をシミュレートするのに有望であると考えられる。 上記の成果を、ロトルアで開催された環太平洋木質構造会議において発表した。
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