1997 Fiscal Year Annual Research Report
魚類による粒状異物の取り込みと排除のカイネティックス
Project/Area Number |
09460084
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
若林 久嗣 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (00011932)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
横山 博 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助手 (70261956)
小川 和夫 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助教授 (20092174)
|
Keywords | 異物 / 取り込み / 排除 / 皮膚 / 損傷 / 胞子虫 / レクチン / 蛍光標識 |
Research Abstract |
1.蛍光ラテックスビーズ(径1μm)の懸濁液にニジマス(3-10g)を浸漬して、体表(皮膚、鰭)からの微粒子の取り込みを経時的に観察した。蛍光解剖顕微鏡で体表上を直接観察するとビーズは均一にではなく、所々の遍在していた。組織切片観察によるとビーズの存在する箇所は皮膚の損傷部に限られ、ビーズの大部分はその最外層のトリパンブルーに染まる壊死細胞の表面に付着しており、やがて魚体から離脱していった。しかし、一部のビーズは損傷部を修復する遊走性の上皮細胞に貪食されたり、修復細胞の間隙に閉じ込められた状態になった。これらの結果から、水中懸濁粒子の取り込みに皮膚の微細な損傷が重要な役割を果たしていることが明らかとなった。 2.アユに寄生する微胞子虫 Glugea plecoglossi の胞子に対する8種のレクチンの反応性を調べた。ConAとWGAが胞子表面だけでなく、分子量55kdの胞子溶解物に対しても陽性反応を示した。アユ頭腎マクロファージの胞子貪食率はConA処理後に低下した。これらのことから、胞子の持つレクチンに反応性のある物質(おそらくは糖タンパク)をマクロファージが認識することがグルゲァの感染の成立に必要と考えられた。 3.蛍光標識法による粒状異物の検出法について、CFSE 蛍光色素による生体異物の最適染色条件を標準化し(0.1mM,15分)、寄生生物が魚へ感染する過程を定量的、定性的に調べることを可能にした。放線胞子を用いたコイへの感染実験では、テロハネルス放線胞子がコイの鰓弁から侵入し、接触30分後で侵入のピークに達することが示された。さらに、蛍光カルシウム指示薬 fura-2,AM を用いた測定法により、放線胞子が魚類体表粘液と接触することで細胞内カルシウム量が増加することが示唆された。
|