1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09460087
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
植松 一眞 広島大学, 生物生産学部, 教授 (00116542)
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Keywords | コイ / 遊泳 / 運動 / 脳 / 脊髄 / fictive swimming / 仮想的遊泳活動 / 内側縦束核 |
Research Abstract |
1.自発的遊泳を抑制するために端脳を除去したコイの内側縦束核(NFLM)を目標に金属微小電極を刺入した。微小電気刺激を加えると、両側性の尾振りがおきた。実験後、組織学的に確認すると、電極先端はNFLMもしくは内側縦束の近傍にあった。 2.クラ-レで不動化したコイのNFLMに金属微小電極を刺入し、腹根に吸引電極を装着した。端脳は除去しない。自発的遊泳時もしくは機械的刺激により人為的に誘起した遊泳時の神経活動を両電極により導出した。このときの神経活動を魚体運動をともなわないので仮想的遊泳活動(fictive swimming)と呼ぶ。 3.fictive swimmingのとき、腹根からはリズミカルな断続的叢放電が記録された。周期と持続時間から、これは通常の遊泳活動の背景にある神経活動であると判断された。fictive swimmingにともないNFLMニューロンからは二種類の神経活動が記録された。一つは、fictive swimming中にtonicに発火するニューロン、もう一つは腹根からの叢放電活動に同期してphasicに発火するニューロンである。 4.これまでと同様にして、コイのNFLMを目標に金属電極を刺入し、尾振りを誘起する。電極を歯科用セメントで頭蓋骨に固定した後、魚を清水に移し麻酔から回復させた。自由遊泳中のNFLMニューロン活動の記録を試みた。 5.脊髄内にBiocytin(トレーサー)を微量注入しNFLMニューロンを逆行性に標識した。脊髄腹側の白質にトレーサーを注入するとNFLMニューロンが標識された。 6.来年度は、以下の実験により、遊泳運動の制御に果たすNFLMニューロンの機能を解明する予定である。(1)NFLMニューロンの活動様式の分類と、記録したニューロンの同定。(2)自由遊泳中のNFLMニューロンの活動と魚の行動との関係の把握。(3)NFLMニューロンの脊髄への投射経路。
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