1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09460093
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
渡部 終五 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (40111489)
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Keywords | コイ / ミオシン / 筋肉 / ミオシン・アイソフォーム / 一次構造 / ミオシン重鎖 / cDNAクローニング / ミオシン軽鎖 |
Research Abstract |
魚肉タンパク質中、ミオシンは最も多い成分で、その性状は魚肉の加工適性や貯蔵適性に大きな影響を与えるが、一次構造の情報がほとんどないため、分子レベルの研究は困難をきわめている。そこで本研究は、コイ普通筋を対象に、遺伝子工学的手法を用いてミオシン重鎖および軽鎖サブユニットの全一次構造を解明することを目的とした。 まず、コイ普通筋からcDNAライブラリーを構築した。次いで、既報のコイL-メロミオシンをコードするDNA断片につき、DIGDNAラベリングキットを用いて標識化し、これをプローブとして、前述のcDNAライブラリーからミオシン重鎖のC末端側の種々の領域をコードするクローンを単離した。さらに、N末端側のコードするDNAは、PCRによって増幅した。上記の単離クローンおよび増幅DNA断片は、pBluescriptSK-プラスミドにサブクローニングし、その塩基配列をDNAシーケンサを用いて決定し、ミオシン重鎖の全一次構造を演繹した。一方、アルカリ軽鎖A1およびA2については、既報のカツオA1に対するウサギ抗体を用いて上記のcDNAライブラリーをスクリーニングし、得られたクローンにつき、塩基配列を決定し、全一次構造を演繹した。まず、ミオシン重鎖については、10°Cおよび30°C馴化コイで主に発現するタイプと、両タイプの中間的なアミノ酸配列を示す中間型の3つのアイソフォームの一次構造を決定することができた。いずれのタイプも1849〜1845アミノ酸をコードしていた。各アイソフォーム間で配列を比較すると、N末端側サブフラグメント-1のループ1および2領域、さらにはロッドのC末端で大きな違いがみられた。一方、A1およびA2軽鎖はそれぞれ、193および151アミノ酸をコードしていた。両軽鎖のアミノ酸変異は分子全体にわたり、異なる遺伝子でコードされていることが示唆された。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] Hirayama,Y.,et al.: "The two essential light chains of carp fast skeletal myosin,LC1 and LC3,are encoded by distinct genes and change their molar ratio following temperature acclimation" The Journal Experimental Biology. 200巻. 693-701 (1997)
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[Publications] Hirayama,Y. and Watabe,S.: "Structural differences in the crossbridge head of temperature-associated myosin subfragment-1 isoforms from carp fast skeletal muscle" European Journal Biochemistry. 246巻. 380-387 (1997)
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[Publications] Nakaya,M., et al.: "Differential scanning calorimetry and CD spectrometry of acclimation temperature-associated types of carp light meromyosin" Biochemistry. 36巻. 9197-9184 (1997)
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[Publications] Iwasaki,K., et al.: "cDNA cloning of tropomyosin from the anterior byssus retractor muscle of mussel and its structural integrity from the deduced amino acid sequence" Fisheries Science. 63巻. 731-734 (1997)
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[Publications] Kakinuma,M., et al.: "Thermal unfolding of the cold-acclimated type of carp light meromyosin expressed by recombinant DNA in Escherichia coli" Fisheries Science. 63巻. 1008-1013 (1997)
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[Publications] Siegmen,M.J., et al.: "Phosphorylation of a high molecular weight(〜600 kDa)protein regulates catch in invertebrate smooth muscle" Journal of Muscle Research Cell Motility. 18巻. 655-670 (1997)
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[Publications] 渡辺終五: "魚類のDNA-分子遺伝学的アプローチ(分担執筆)" 恒星社恒星閣(青木宙、隆島史夫、平野哲也編), 469 (1997)
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[Publications] 渡辺終五: "魚介類の細胞外マトリックス(分担執筆)" 恒星社恒星閣(木村茂編), 110 (1997)