1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09460095
|
Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
堀 貫治 広島大学, 生物生産学部, 助教授 (50116662)
|
Keywords | 海藻 / レクチン / 糖鎖認識 / 分子構造 / 結合特異性 / オリゴサッカライド |
Research Abstract |
前年度内に紅藻Eucheuma amakusaensis、 E.cottonii、 Solieria robusta、 Gracilaria verrucosa、Carpopeltis flabellata、 Hypnea japonica、緑藻 Codium fragile、Bryopsis sp.、および藍藻Oscillatoria agardhiiの各レクチンの糖鎖結合特異性を30種類の蛍光標識糖鎖を対象に精査した。今年度は、さらに供試糖鎖数を増やし計44種類の糖鎖との結合性試験から、これら海藻レクチンの糖鎖結合性を詳細に調べた。また、新たに紅藻E.serraおよび培養Bryopsis plumosaのレクチンについても同様に調べた。その結果、これら海藻レクチンのほとんどは、それぞれ特定の糖鎖に選択的に結合すること、結合する糖鎖中の認識部位も既知レクチンとは異なることが判明した。これら海藻レクチンがもつ選択性の高いかつユニークな糖鎖結合性は既知レクチンには見いだされていないことから、これらは新規の糖鎖識別プローブとして応用性が高いだけでなく、その生物活性にも興味がもたれる。 このうち、高マンノース型糖鎖に高い結合選択性をもつ紅藻E.serraと藍藻O.agardhiiの各レクチンの全一次構造を明らかにした。両者の間には高い相同性が認められ、前者は約67アミノ酸残基の4回繰り返し構造、後者は同残基の2回繰り返し構造で構成されていた。この繰り返し構造は両レクチンの糖鎖結合部位数、それぞれ4および2個、と一致していることから、67アミノ酸で構成される繰り返し単位部分が両レクチンの糖鎖認識ドメインを構成すると考えられる。両レクチンは既知の高マンノース型糖鎖結合性レクチンとは、同糖鎖に対する結合選択性の高さ、認識部位、および一次構造の点で明らかに異なっていた。したがって、両レクチンの3次元構造に興味がもたれる。一方、両レクチンの一次構造はある細菌由来の赤血球凝集素の同構造と高い共通性が認められた。このように、分類学的に異なる3種生物間に認められたレクチン構造の共通性は生物学的観点からも興味深い。
|