1997 Fiscal Year Annual Research Report
農耕地の土壌劣化が環境物質移動に及ぼす影響に関する研究
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09460106
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
宮ざき 毅 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助教授 (00209892)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西村 拓 東京農工大学, 農学部, 講師 (40237730)
中野 政詩 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (00011908)
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Keywords | 土壌劣化 / 物質移動 / 排水不良 / ディスクパ-ミアメータ / 土壌の分散 / クラスト / 団粒 |
Research Abstract |
本研究は、i)埼玉県深谷市の380ha農地(畑地利用)において近年発生した土壌劣化の原因をつきとめ、ii)土壌劣化が環境物質すなわち水、溶解成分(各種塩類、窒素、燐など)、ガス状成分(O_2、CO_2、N_2Oなど)の循環移動に及ぼす影響を明らかにし、さらにiii)土壌回復のための土壌改良、土層改良、排水計画などを提言することを目的とした。研究初年度(H9)には、対象地の農地土壌診断と評価、土壌サンプリング、土壌の物理分析、土壌の化学分析、ディスクパ-ミアメーターによる現地透水係数測定、土壌試料の分散性とクラスト形成に関するモデル実験、ガス状物質採取、ガスクロ分析などを行い、これら環境物質の挙動を把握する基礎データの一部を得た。不攪乱試料の飽和透水係数を比較したところ、どの深さの試料においても排水不良地の透水係数が排水良好地の透水係数より小さいという結果は得られなかった。次に、現地透水係数を測定するのに適すると言われ、近年開発されたディスクパ-ミアメーターによる測定値に比較したところ、排水不良地と排水良好地に統計的な有意差無しと判明した。ところが、これらの土壌試料に人工降雨を当てて、雨滴による土壌分散を起こさせた後の地表面試料をデジタルマイクロスコープによって観察したところ、排水不良地から採取した地表面5mm程度の厚さの試料においてクラスト状の目詰まりが顕著に現れた。特に、人工降雨中にNaイオンやCaイオンを溶解させた場合、違いはより顕著になる場合があり、土壌中の肥料成分が土壌の分散とクラスト形成にも関与していることが分かってきた。本研究は、さらに、畑地表面から大気中へのガスフラックス分析、土壌の団粒安定性や分散性に及ぼすイオンの影響解明などへと継続することになる。
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Research Products
(1 results)