1997 Fiscal Year Annual Research Report
高濃度二酸化炭素下の木本植物群の環境緩和機能の評価
Project/Area Number |
09460119
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
清田 信 大阪府立大学, 農学部, 教授 (90117995)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平野 高司 大阪府立大学, 農学部, 助教授 (20208838)
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Keywords | 二酸化炭素 / 光合成速度 / 蒸散速度 / 環境緩和 / 木本植物 / 熱収支 / 水ストレス |
Research Abstract |
CO_2シンクとしての木本植物群におよぼすCO_2濃度の影響ならびにCO_2濃度の上昇にともなって生じる蒸散量の減少による熱収支の変化から、木本植物群の環境緩和機能を評価することを目的にしている。 対象樹種としては、熱帯や温帯域で植樹されている樹種(アカシアマンギウム、アカシアメラノキシロン、ユ-カリ、タブノキ、ヒノキ、スギ、ウバメガシ、キョウチクトウ、シャリンバイ、ネズミモチ、クスノキ、ヤマモモ)とした。樹齢は1〜3年のものを用いて検討した。 CO_2濃度が上昇すると光合成速度は増加するが、増加率は樹種によって異なり、CO_2濃度が倍増すると概ね2倍になった。一方、蒸散速度は、CO_2濃度は上昇によって減少するものが多く、350〜400ppmに比べ、700ppm区のユ-カリ、キョウチクトウ、シャリンバイなどの蒸散速度は30〜40%低下した。しかし、ヒノキ、スギ、ネズミモチなどはほとんど低下しなかった。前者の場合、熱収支において潜熱伝達量が減少するため、顕熱伝達量が増加した。 このように、CO_2濃度の上昇によって蒸散速度が低下する樹種では、土壌水分の消費量が減少するため、水ストレスを生じる時間が少なくなった。シャリンバイとネズミモチで比較した結果、CO_2濃度が上昇したときに水ストレスが生じた場合、同程度の葉内水ポテンシャルで光合成速度は低下した。そのため、シャリンバイに比べ蒸散速度が比較的高く、CO_2濃度の上昇に対して蒸散速度が減少しないネズミモチでは、熱収支の変化は少ないが、水の利用という点では不利になる。
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