Research Abstract |
本研究は,反芻家畜の栄養学の観点から,遺伝子組換えによりルーメンプロトゾア体タンパク質の宿主に対する栄養価を改善することを最終目標とする.しかし,Tetrahymenaなどのプロトゾアは,遺伝子発現に際し,終止コドンなどがユニバーサルコドンから逸脱していることが知られているので,ルーメンプロトゾアについても,まずコドンの使い方を知ることが重要となる.本研究では,ルーメンプロトゾアの遺伝子発現時のコドンの使い方を確認することを目的として,平成10年度は、ルーメンプロトゾアEntodinium caudatumのmRNAからcDNAライブラリーを作成して,リゾチーム遺伝子のスクリーニングを試みた.その結果,1次スクリーニングでは2〜3個のハローが得られたが,2次スクリーニングでは不明確となり,結局,何回スクリーニングしても,リゾチーム遺伝子はうまくスクリーニングされなかった.そこで,類似の酵素であるN-アセチル-β-D-グルコサミニダーゼ(NAGase)遺伝子のスクリーニングを行った.これは,E.caudatumの可溶性タンパク質に対する抗体を用いて,それへのポジティブコロニーを集め,その中からNAGase遺伝子をスクリーニングした.この場合も,1次スクリーニングで5〜7このコロニーが得られたが,2次では不明確になった.そこで試しに,1次スクリーニングで得られた遺伝子の塩基配列を分析してみることにした.現在まだ配列決定は不完全で,5′側588bpまで,3′側657bpまでしか配列は決まっていないが,3′側の配列はグアニンヌクレオチド交換反応抑制因子(GDP-GTP交換反応抑制因子)遺伝子に相同性が高いことがわかった.残された時間で,この遺伝子の塩基配列を決め,コドンユーセジを解明する予定である.大腸菌をホストととするリゾチーム等の遺伝子のスクリーニングは,リゾチームがホストの増殖を阻害するので,やはり,無理があるようである.これらの研究とは別に,本研究に関連して,E.caudatumのリゾチームおよびNAGaseの精製を行った.
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