1998 Fiscal Year Annual Research Report
哺乳類卵巣に及ぼす一酸化窒素の作用とシグナル伝達の分子生物学的解析
Project/Area Number |
09460139
|
Research Institution | KYUSHU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
服部 眞彰 九州大学, 農学部, 助教授 (60175536)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 幸雄 群馬大学, 生態調節研究所, 助教授 (30114177)
|
Keywords | 果位膜細胞 / 卵子 / 一酸化窒素 / 酸化窒素貿易 / 転写調節因子遺伝子 / 遺伝子発現 / PT=PCP / 細胞分化 |
Research Abstract |
ブタ顆粒膜細胞および卵丘細胞-卵子複合体の無血清培養系を用いて、[1]NO代謝物(亜硝酸塩および硝酸塩)測定、[2]ゴナドトロピン受容体遺伝子(LH一R)の発現に及ぼすNO供与体あるいはNO補集剤の影響、[3]NO合成酵素(NOS)のウエスタンブロットによる検出、および[4]NO発生の蛍光による直接検出、について検討した。NO測定については、亜硝酸塩および硝酸塩をそれぞれ測定する方法を用いて顆粒膜細胞の分化の過程で発生するNOの検出を行なったところ、FSHによる分化誘導より約40時間前後にNOの発生が認められた。この発生に伴って、cGMPの産生が上昇することも観察された。このNOは内皮細胞性NOS(eNOS)由来であることが、ウエスタンブロットによって証明された。このNOの作用をNO補集剤を用いて抑制するとcfosの転写因子遺伝子の発現が抑制され、その結果、LH刺激によるLH-R遺伝子の発現に減少がみられた。一方、恒常的に発現するcjunはNO補集剤処理によって、逆に発現が増加し、またATF-4は捕集剤処理によって変化は見られなかった。このことから、NOはプロテインキナーゼCの伝達系を変化させるモデュレーターの可能性が考えられた。顆粒膜細胞で分化の過程で発生するNOは分化プログラムを進行するうえで、重要な因子であることが結論された。一方、卵子を用いた研究では新たな展開があった。卵子が大量のNO発生源であることを、NO代謝物の測定、NOSのウエスタンブロット分析、および蛍光試薬で標識した卵子における蛍光観察によってこのことを証明した。特に、卵成熟時には卵子によるNO発生が抑制されることが認められ、卵成熟機構を探るうえで新たな知見となるものである。
|
Research Products
(5 results)
-
[Publications] 服部眞彰: "卵巣顆粒膜細胞の成熟分化に伴って発現するガングリオシドGM3:細胞認識リガンドあるいは細胞内シグナリング調節因子として機能?" 化学と生物. 36(9). 561-562 (1998)
-
[Publications] 服部眞彰: "顆粒膜細胞の分化に及ぼすレチノイン酸の影響" 三島海雲記念財団研究報告書. 35. 15-18 (1998)
-
[Publications] 服部眞彰,藍澤雅邦,田中義博: "閉経期婦人ゴナドトロビン製剤に混入するヒト絨毛性ゴナドトロビン:黄体形成ホルモン" 日本内分泌学会誌3:(印刷中). (1999)
-
[Publications] Zhao J.Hattori M-A & Fujihara N: "In Vitro matruation of oocytes and developmental ability of embryosin in in vitro fertilization of the cattles." Nadanishi Printing Co.(H.Miyamoto,N.Manabe,eds), 7 (1998)
-
[Publications] Fujihara N,Inada S,Hasebe M,YamaguchiH & Hattori M-A: "In Vivo gene transfer to chick embryos via spermatozoa and primordial germ cells." Nadanishi Printing Co.(H.Miyamoto,N.Manabe,eds), 3 (1998)