1998 Fiscal Year Annual Research Report
黒毛和種牛バンド3欠損症における致死性回避の分子機構
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09460145
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
稲葉 睦 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助教授 (00183179)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高桑 雄一 東京女子医科大学, 医学部, 教授 (40113740)
松木 直章 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助手 (40251417)
土井 邦雄 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (70155612)
高橋 迪雄 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (30011943)
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Keywords | 赤血球 / 膜蛋白質 / バンド3 / 遺伝性疾患 / 陰イオン輸送 / 酸塩基平衡 / 膜骨格 / 黒毛和種牛 |
Research Abstract |
A. 新生子期の高致死率をもたらす要因の解明 1. 新生子期における赤血球の形態異常(Poikilocytosis、あるいはAcanthocytosis様)が膜脂質の過酸化によるものであるとの仮説を検証中である。特に、牛赤血球ではヒトや他の動物種と異なり、血漿脂質との交換反応が起きやすいフォスファチジルコリンがなく、起きにくいスフィンゴミエリンか多いことに焦点を当て、その過酸化産物の膜内蓄積を検討中である。 B. ヘテロ接合型個体における潜在病態の解明 1. ヘテロ接合型赤血球膜でのバンド3存在様式・多量体形成を、非イオン性界面活性剤による可溶化、ゲル浸透クロマトグラフィーによるサイズ分画により解析し、正常赤血球と比較検討した。その結果、ヘテロ赤血球におけるバンド3の部分欠損は、量的異常によるものであり、多量体の形成異常等の質的異常によるものではないことが明らかになった。 2. 小胞体存在下、in vitro合成した正常、ならびにR664X変異バンド3の免疫沈降、およびサイズ分画の検討から、本疾患の原因遺伝子異常であるR664X変異が、正常バンド3の発現に対してドミナント・ネガティブに作用し、その発現を阻害することが判明した。 3. NOSAI山形の伴らと共同で臨床現場でのスクリーニング、遺伝子診断を実施し、遺伝コントロールを行い著効をあげた。 C. 酸素・二酸化炭素交換の代償機構の解明 1. 既報でホモ接合型赤血球内の塩素イオン濃度の低下、pHの上昇が明らかとなった。赤血球内におけるHCO_3^-の蓄積によるものと考えられ、イオンクロマトグラフィーでその実証を試みている。 D. バンド3欠損が他の膜骨格蛋白質の部分欠損をもたらす機序の解明 1. バンド3と相互作用する可能性のある膜蛋白質P4.2、P4.1、ならびにアンキリンの各cDNAを単離した。Xenopus卵母細胞で、バンド3とこれらを同時に発現させると、バンド3の活性発現に対しP4.2は抑制的に作用し、一方アンキリンは増加させた。このことは、P4.2とアンキリンが、バンド3の膜への輸送途中で何らかの調節作用を有することを示唆するもので、本疾患におけるバンド3以外の膜蛋白質の減少機序、ならびに生理的膜構築機構の解明に有用な知見である。詳細を検討中である。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Matsumoto,M.、他2名: "Molecular basis of bovine red cell protein 4.2 polymorphysm in Japanese black cattle." Biochem.J.332. 183-187 (1998)
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[Publications] Bonkobara,M.、他4名: "Proline,leucine,and alanine transport in placental microvillous membrane vesicles prepared from late gestational rats" J.Vet.Med.Sci.60. 1081-1085 (1998)
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[Publications] Nunomura,M.、他5名: "Regulation of CD-44-protein 4.1 interaction by Ca and calmodulin -Implications for modulation of CD44-ankyrin interaction-" J.Biol.Chem.272. 30322-30328 (1998)
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[Publications] 伴 顕、他10名: "黒毛和種牛のバンド3欠損症の遺伝学的コントロール" 日獣会誌. 52. 85-89 (1999)
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[Publications] 稲葉 睦、他21名: "赤血球 (監修 三輪史朗、編集 藤井寿一、高桑雄一)" 医学書院、東京, 257 (1998)
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[Publications] Inaba,M.他: "Red cell membrane defects In Schalm's Veterinary Hematology,5th ed.(Feldman,R.F.,Zinkl,J.G.,and Jain,N.C.eds)" Williams and Ailkins,New York(in press), (1999)