1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09470004
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Research Institution | Kyorin University |
Principal Investigator |
平野 寛 杏林大学, 医学部, 教授 (10086481)
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Keywords | ガレクチン / O-GlcNAc / 光顕観察 / 電顕観察 / 内在性レクチン |
Research Abstract |
1) 線虫(C.elegans)におけるガレクチンの局在: ガレクチンはガラクトースに特異的な動物レクチンであり、細胞膜や細胞間基質にあって糖の関与する様々な接着反応や各種の情報伝達に関与するとされる。昨年度に引続き、線虫C.elegansに存在する主要ガレクチン(32-kおよび16-kDa)に対する特異抗体を用い、これらの局在を光顕・電顕的に検討し、発生過程に伴う変化を比較し、目下論文の形で公刊準備中である。 3) ラット膵臓におけるO-GlcNAc並びにO-GlcNAc転移酵素の局在 糖蛋白質の糖鎖には、アスパラギン型糖鎖とムチン型糖鎖がよく知られている。それらに加えて、細胞質および核内の種々の蛋白質を構成するセリン或いはスレオニン残基に、N-アセニルグルコサミン(GlcNAc)が1つだけO-グリコシド結合したO-GlcNAcの存在が、近年明らかとなった。このようなO-グリコシド結合型N-アセチルグルコサミン(0-GlcNAc)の機能は、セリンやスレオニンのリン酸化の調節や、細胞内シグナル伝達或いは核内での転写の制御への関与などが示唆されている。またO-GlcNAcは、従来より知られている糖鎖合成過程とは全く異なる経路で合成される。最近、このO-GlcNAc転移酵素の遺伝子がラット、ヒト、線虫などでクローニングされたが、その局在については不明である。今回、ラット膵臓におけるO-GlcNAc並びにO-GlcNAc転移酵素の局在を検討した。 光顕的に観察すると、O-GlcNAc転移酵素は外分泌部では腺房細胞に、またランゲルハンス島ではA細胞と膵ポリペプチド(PP)細胞に強く発現していることが認められた。さらに、電顕観察より、O-GlcNAc転移酵素は主に細胞の核のユークロマチンに存在し、また腺房細胞の酵素原顆粒の周囲、並びにA細胞のα顆粒の周囲の細胞質に存在することが明らかになった。このようなO-GlcNAc転移酵素の局在は、O-GlcNAcの場合とほぼ一致していた。(本研究は米国ジョン・ホプキンス大学医学部G.W.Hart博士らとの共同研究の一端である。) 3) かねてより準備を進めていた総説“Endogenous Animal Lectins"が、Progress in Histochemistry and Cytochemistry誌に掲載、公刊された(業績欄参照)。これは、内在性動物レクチンに関する最近の知見を一括してまとめた内容である。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] Mitsunaga-Nakatsubo K,Akasaka K,Akimoto Y,Akiba E,Kitajima T,Tomita M,Hirano H,Shimada H: "Arylsulfatase exists as non-enzymatic cell surface protein in sea urchin embryos." J.Exp.Zool.280. 220-230 (1998)
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[Publications] Mizuochi S,Akimoto Y,Imai Y,Hirano H,Irimura T: "Immunohistochemical study on a macrophage calcium-type lectin in mouse embryos:transient expression in chondroblasts during endochondral ossification." Glycoconjugate J.15. 397-404 (1998)
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[Publications] Osaki T,Yamaguchi H,Tagushi H,Fukuda M,Kawakami H,Hirano H,Watanabe S,Takagi A,Kamiya S: "Establishment and characterisation of a monoclonal antibody to inhibit adhesion of Helicobacter pylori to gastric epithelial cells." J.Med.Microbiol.47. 505-512 (1998)
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[Publications] 川上速人,平野寛: "特集「血小板の臨床」血小板の電子顕微鏡像-活性化と突起形成." MEDICO. 29. 12870-12871 (1998)
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[Publications] 秋元義弘,Hart GW,Kreppel LK,平野寛: "O-GlcNAcと細胞機能." 蛋白質核酸酵素. 43(16). 2574-2581 (1998)
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[Publications] 秋元義弘,Hart GW,Kreppel LK,平野寛: "大動脈並びに大動脈由来平筋細胞におけるO-GlcNAc転移酵素." Mebio. 15(4). 111-113 (1998)
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[Publications] 秋元義弘,Hart GW,Kreppel LK,平野寛: "膵臓における糖転移酵素" Mebio. 15(9). 115-117 (1998)
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[Publications] 松田実,須田一晴,喜多秀文,田中良太 など他: "乳癌組織におけるHSP90・pS2とホルホンレセプターの免疫組織化学的検討." 乳癌基礎研究. 7. 24-28 (1998)