1998 Fiscal Year Annual Research Report
小胞体膜の秩序化と出芽(カルシウムシグナリングによる膜小胞形成の制御)
Project/Area Number |
09470006
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
丸山 芳夫 東北大学, 医学部, 教授 (00133942)
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Keywords | 粗面小胞体膜 / maxi-Kチャネル / Clチャネル / 膵腺腺房細胞 / 肝細胞 / イベリオトキシン / アセチルコリン受容体 / カルシウムシグナル |
Research Abstract |
粗面小胞体が大部をしめる膵腺腺房細胞において、小胞体膜(核包膜)に存在するイオンチャンネルのリストがおおむね完成した。1)チャネルコンダクタンス200pSのいわゆるmaxi-Kチャネル、2)10pS以下のCFTRと思われるClチャネル、3)500pSのbingClチャネル、4)60pSのKチャネル等が存在する。いっぽう、滑面小胞体が大部をしめる肝細胞小胞体膜では、上記リスト中、3)および希ではあるが1)の存在が認められる。涙腺腺房細胞および唾液腺腺房細胞の小胞体膜では、上記1)の存在が顕著である。 こうした多くの分泌上皮細胞小胞体膜に共通して存在するmaxi-Kチャンネルの役割を推定するため、このチャネルの特異的阻害剤であるイベリオトキシンあるいはパキシリンを膵腺腺房細胞自体に注入し、ついで細胞内からのカルシウム遊離反応を誘発させたところ、反応は高位の膜電位で有意に増大した。細胞内での事象が細胞膜電位に依存することは新知見であり、従来想像さえされていなかった。maxi-Kチャネルによる細胞内カルシウム分布制御機構を推定し、カルシウムの再分布に必要な駆動力のシミュレーションを行った。 上の実験途上、細胞内カルシウム遊離反応経路での膜電位依存性ステップの詳細を知る必要が生じ、ムスカリン性アセチルコリン受容体の膜電位依存性を調べた。その結果、 GDP結合G蛋白と受容体が共約している時(高親和性受容体)にのみ、受容体とリガンド結合の電位依存性が明瞭となることが分かった。カルシウム伝達機構途上、こうして二つの電位依存悴ステップが推定できた。maxi-Kチャネルの関与する小胞体レベルとG-蛋白の関与する受容体レベルであった。 小胞体からの小胞出芽仮説については、形態からのアプローチを考慮して顕微鏡システムを整備した。
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