1999 Fiscal Year Annual Research Report
小胞体膜の秩序化と出芽(カルシウムシグナリングによる膜小胞形成の制御)
Project/Area Number |
09470006
|
Research Institution | TOHOKU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
丸山 芳夫 東北大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (00133942)
|
Keywords | 膵腺腺房細胞 / 小胞体 / 膜容量 / Ca_<2+>濃度 / 出芽 / イオンチャネル / パッチクランプ法 / Ca_<2+>シグナル |
Research Abstract |
膵腺腺房細胞核小胞体膜の膜容量は、小胞体膜管腔Ca2_+濃度が上昇すると増大する。出芽はつまり、Ca2_+シグナルと関連があるとの結論に達した。いっぽう、小胞体膜(核包膜)には次のイオンチャンネルが存在する:1)チャネルコンダクタンス200-250pSのいわゆるmaxi-Kチャネル、2)10pS以下のClチャネル、3)500pSのbigClチャネル、4)60pSのKチャネル等が存在する。1)、2)は常に存在し、いっぽう、3)、4)は希である。膵腺腺房細胞におけるチャンネル1)、2)のCa2_+シグナルヘの関与をみるため、細胞からのK+およびClイオンの除去をパッチクランプ法を用いて行った。Na-glutamate溶液にて細胞内を潅流すると自発的なCa2_+反応が現れた。つまり、1)、2)のチャネルは小胞体へのCa2_+取り込みに関与していることが示唆された。現在、fura-2顕微測光法により、より直接的な知見を集めている。また、maxi-Kチャンネルを単独に阻害した場合(特異的阻害剤であるイベリオトキシンあるいはパキシリンを膵腺腺房細胞自体に注入)、正の膜電位と負の膜電位におけるCa2_+反応の乖離が甚だしくなった。このことは、1)のチャネルによる細胞内カルシウム分布制御機構の存在を示唆している。このように、小胞体を中心としたCa2_+シグナルは出芽およびCa2_+伝播等、従来知られていなかった機構により、相互に関連をもつことが分かる。膵腺腺房細胞は溶液分泌を行う。刺激に伴い、細胞サイズを変えるとも推測されている。以上のことは水の移動として説明されている。これらをふまえ、顕微鏡下、小胞体標本を低浸透圧下に置いて観察すると、そのサイズは大きく変化した。現在、小胞体チャネルと水、また出芽と浸透圧の関係を、小胞体Ca2_+シグナルを中心に模索している。
|