1999 Fiscal Year Annual Research Report
肝臓を介する予測制御的体液恒常性維持機構の解明:特に受容機構と中枢機構
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09470008
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
森田 啓之 岐阜大学, 医学部, 教授 (80145044)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡邊 和子 岐阜大学, 医学部, 講師 (40158621)
李 憲 岐阜大学, 医学部, 助教授 (00212316)
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Keywords | 門脈-肝臓領域Na^+受容器 / 門脈-肝臓領域K^+受容器 / Na^+K^+2Cl^-共輸送体 / K^+恒常性維持 / 尿中K^+排泄 / 肝臓除神経 / ブメタナイド |
Research Abstract |
生体内に存在するNa^+受容器として、視床下部、味蕾、腎のmacula densa(Na^+受容器というよりもむしろCl^-受容器)などが知られている。このうち、視床下部のNa^+受容器に関してはその受容機構は不明であるが、味蕾はアミロライド感受性Na^+チャネルを介し、macula densaはNa^+K^+2Cl^-共輸送体を介してNa^+濃度を感知していることが確かめられている。門脈-肝臓領域Na^+受容器も何らかのNa^+輸送機構を介し、Na^+濃度を感知しているのではないかと考え、種々のNa^+輸送機構に対する阻害薬投与前後で、肝門脈内高張NaCl溶液投与に対する、肝臓求心神経活動の応答を調べた。ネンブタール麻酔下のラットにおいて、肝門脈内0.75MNaCl溶液投与に対し、肝臓求心神経活動は用量依存性の増加を示した。この応答は、肝門脈内アミロライド、SITS投与では全く影響を受けなかったが、ウアバイン、フロセミド、ブメタナイド投与により、用量依存性に抑制された。したがって、門脈-肝臓領域Na^+受容機構にNa^+K^+2Cl^-共輸送体が関与している可能性が示唆された。 門脈-肝臓領域Na^+受容器のNa^+受容機構にNa^+K^+2Cl^-共輸送体が関与しているということから考え、この受容器はCl^-およびK^+濃度に対しても応答する可能性がある。しかし、肝門脈内高張LiCl溶液投与に対して、肝臓求心神経は応答しないことから、Cl^-濃度に対する応答性は否定された。しかし、K^+濃度に対する応答は不明である。したがって、肝門脈内K^+濃度に対する肝臓求心神経活動の応答を麻酔下のラットを用いて調べた。肝門脈内に等張KCl+NaCl溶液を投与すると、肝臓求心神経活動はK^+濃度依存性の増加を示した。この応答は肝門脈内ブメタナイド投与により用量依存性に抑制されたことから、Na^+K^+2Cl^-共輸送体がK^+濃度感知にも関わっていることが示唆された。さらに、門脈・肝臓領域K^+受容器の役割を調べるため、麻酔下のラットを用い、微量の等張KCl+NaCl溶液肝門脈内投与あるいは下大静脈内投与に対する尿中K^+排泄を測定した。微量投与により血中K^+濃度は有意な上昇を示さなかったにも関わらず、肝門脈内投与では尿中K^+排泄の有意な増加が認められた。一方、下大静脈内投与では尿中K^+排泄は肝門脈内投与に比べて有意に少なかった。肝門脈内投与に対する尿中K^+排泄増加は肝臓除神経により有意に減少し、下大静脈投与のレベルにまでなった。以上の結果から、門脈-肝臓領域K^+受容器はK^+恒常性維持に重要な役割を果たしていることが示唆された。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] 森田啓之: "受容器の宝庫肝臓:門脈-肝臓領域Na受容機構による予測制御的Na恒常性維持"膜(Membrane). 24. 64-71 (1999)
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[Publications] Sei H, Morita Y, Tsunooka K, Morita H.: "Sino-aortic denervation augments the increase in blood pressure seen during paradoxical sleep in the rat"Journal of Sleep Research. 8. 45-50 (1999)
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[Publications] Morita H, Fujiki N, Hagiike M, Yamaguchi O, Lee K.: "Functional evidence for involvement of bumetanide-sensitive Na^+K^+2Cl^- cotransport in the hepatoportal Na^+ receptor of the rat"Neuroscience Letter. 264. 65-68 (1999)
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[Publications] Hagiike M, Maeta H, Murakami H, Okada K, Morita H.: "Mechanism of biphasic response of renal nerve activity during acute cardiac tamponade in conscious rabbits"American Journal of Physiology. 276. R1232-R1240 (1999)
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[Publications] Morita H, Fujiki N, Miyahara T, Lee K, Tanaka K.: "Hepatoportal numetanide-sensitive K^+-sensor mechanism controls urinary K^+ excretion"American Journal of Physiology. (in press). (2000)