1997 Fiscal Year Annual Research Report
平滑筋における自発活動発現の細胞内機序に関する生理学的研究
Project/Area Number |
09470011
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
鈴木 光 名古屋市立大学, 医学部, 教授 (80037548)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 喜通 名古屋市立大学, 医学部, 講師 (80145755)
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Keywords | 平滑筋 / 自発活動 / 胃 / 緩電位 / カルシウム / 歩調取り電位 |
Research Abstract |
モルモット胃輸送平滑筋を摘出し、自発活動に伴う平滑筋細胞内カルシウム(Ca)イオン濃度をfura-2により測定した。胃幽門部平滑筋の自発活動は組織のサイズを200ミクロン程度にまで細分するまで観察でき、微小電極法により、平滑筋細胞からは律動的に発生する緩電位が記録できた。緩電位はニフルミン酸(塩素イオン透過抑制薬)によっても変化せず、シクロピアゾン酸(細胞内Ca貯蔵部位へのCa摂取抑制薬)により停止し、カフェイン(小胞体Ca遊離薬)で停止したので、小胞体Caが自発活動発現には重要であることが推定できた。Fura-2による蛍光も細胞の自発活動に伴い律動的に変化し、ニフェジピン(Caチャネル抑制薬)で蛍光変化の振幅は減少したが、自発的蛍光変化は消失しなかった。蛍光と膜電位の同時測定により、膜電位変化が蛍光変化に先行して起こることがわかり、このことは自発活動は細胞内におけるCaがその契機になっているのではなく、膜電位変化がおこり、脱分極に伴いCa濃度の変化が起こることが明らかになった。しかし細胞外液からCaを除去すると自発活動は停止したので、自発活動発現にはCa流入が必須であり、それによって発動された脱分極がさらにCa流入や消胞体からのCa遊離を促進して細胞内Ca濃度を上昇させ、筋を収縮させると思われた。さらに、自発活動の契機となるCa供給の機構や、緩電位発現のイオン機序について解析を行う。
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