1997 Fiscal Year Annual Research Report
内向き整流Kチャネルでのサブステート出現の分子機構
Project/Area Number |
09470013
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Research Institution | Kansai Medical University |
Principal Investigator |
松田 博子 関西医科大学, 医学部, 教授 (10181736)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 章嗣 関西医科大学, 医学部, 講師 (30174775)
大森 浩一郎 関西医科大学, 医学部, 助教授 (80094465)
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Keywords | Kチャネル / 内向き整流特性 / IRK1 / Mgイオン |
Research Abstract |
マウス大食細胞系からクローン化された内向き整流Kチャネル遺伝子(IRK1)をCOS細胞に導入し発現させたチャネルでも、心筋のnative channelと同様に、低濃度の細胞内Mg存在下で、外向き電流に単位電流の1/3と2/3の大きさのサブレベルが見られる。IRK1チャネルの2番めの膜貫通部位のアスパラギン酸をアスパラギン(D172N)またはグルタミン(D172Q)に置換すると、サブレベルは見られず、チャネルは完全に抑制されるか開くかであった。Mgによる抑制は、野生型の場合より弱いが、Mg濃度が10μMで+70mV以上の電位(細胞内外のK濃度は150mM)では有意差を認めなかったので、D172以外のMg結合部位が外向き電流の抑制により重要である考えられた。アスパラギン酸をグルタミン酸に置換し、陰性電荷を温存する(D172E)と、サブレベルが見られた。この結果から、サブレベル出現には、172番めのアミノ酸残基の陰性電荷が必須であることが明かとなった。野性型IRK1とD172Nを直列に連結した四量体を作製し、D172N(陰性電荷)の数がサブレベルにどう影響するか検討した。D172Nを1個または2個含む四量体により発現したチャネルでは2/3の大きさのサブレベルが見られ、D172N mutant subunitを3個含む四量体で発現したチャネルではサブレベルは認められなかった。この結果から、MgイオンはD172の部位の陰性電荷2個によりtrapされ、Mgイオンが2個trapされ(野性型でのみ可能)別の結合部位にMgが結合していない場合に1/3レベルのサブレベルが出現し、Mgイオンが1個trapされ(D172Nが2個以下で可能)別の結合部位にMgがついていない場合に2/3レベルのサブレベルが出現すると考えられた。
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