1998 Fiscal Year Annual Research Report
褐色脂肪機能における不飽和脂肪酸、特にドコサヘキサエン酸の意義に関する実験的研究
Project/Area Number |
09470014
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Research Institution | Asahikawa Medical College |
Principal Investigator |
黒島 晨汎 旭川医科大学, 医学部, 教授 (90002774)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大日向 浩 旭川医科大学, 医学部, 助手 (20233257)
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Keywords | 褐色脂肪組織 / 非ふるえ熱産生 / リン脂質脂肪酸 / ドコサヘキサエン酸 / アラキドン酸 / 絶食 / 暑熱適応 / 甲状腺機能 |
Research Abstract |
ドコサヘキサエン酸(DHA)の褐色脂肪組織(BAT)熱産生反応における意義をさらに知るために以下の実験を行った。1)32℃に4週間暴露した暑熱馴化ラットでは温暖対照群(25℃、4週間)に比較してBATリン脂質のDHAの減少が認められた。BATのin vitro酸素消費量は暑熱適応群で基礎レベルが低下して、ノルアドレナリンによる酸素消費量の増加も低かった。またBATのリン脂質DHAとin vitro基礎酸素消費量およびノルアドレナリン刺激最大酸素消費量の間に正の相関が認められた。2)72時間絶食はBATリン脂質脂肪酸の多不飽和脂肪酸を増加させたが、DHAが減少した。BATのin vitro酸素消費量は基礎レベルが低下して、ノルアドレナリンによる酸素消費量の増加も低かった。またBATリン脂質DHAとin vitro基礎酸素消費量の間に正の相関が認められた。以上のような脂肪酸組成および酸素消費量にみられた変化は再摂食72時間によって完全に回復した。1)、2)の結果はBAT膜リン脂質脂肪酸のDHAの減少がBAT熱産生反応を抑制することを推測させる。3)甲状腺機能低下(メチマゾール投与)はBATリン脂質脂肪酸のアラキドン酸、DHAを減少させた。BATの基礎酸素消費量は変化させなかったが、ノルアドレナリンによるDNAおよび組織当たり酸素消費量の増加が抑制された。一方甲状腺機能亢進(トリヨードサイロニン投与)はBATリン脂質脂肪酸組成は変化させなかったが組織DNA量を増加させた。BATのDNA当たり基礎およびノルアドレナリン刺激酸素消費量は変化しなかったが組織当たりでは増加した。この結果は甲状腺ホルモンがBATの増殖により熱産生能を促進すること、甲状腺ホルモンの欠乏は膜リン脂質脂肪酸組成の変化(DHA、アラキドン酸の減少)により細胞熱産生反応を抑制することを示唆する。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Ohinata,H.: "Effect of dietary docosahexaenoic acid on in vitro thermogenesis and fatty acid compositions of brown adipose tissue." Jpn.J.Physiol.48(3). 189-196 (1998)
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[Publications] Saha,S.K.: "Thermogenesis and fatty acid composition of brown adipose tissue in rats rendered hyperthyroid and hypothyroid-with special reference to docosahexaenoic acid." Jpn.J.Physiol.48(5). 355-364 (1998)
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[Publications] 大日向 浩: "熱産生器官-褐色脂肪組織脂肪酸組成の適応変化" 臨床体温. 16(1). 22-29 (1998)
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[Publications] Ohinata,H.: "Effects of a diet deficient in docosahexaenoic acid(DHA)on nonshivering thermogenesis." Jpn.J.Physiol.48(Suppl.). S217 (1998)
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[Publications] 大日向 浩: "ラット非ふるえ熱産生におけるドコサヘキサエン酸の食餌性欠乏の影響" 適応医学. 2(1). 63 (1998)
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[Publications] 大日向 浩: "ラット非ふるえ熱産生におけるドコサヘキサエン酸の食餌性欠乏の影響" 臨床環境医学. 7(2). 120 (1998)