1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09470018
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
柴田 重信 早稲田大学, 人間科学部, 教授 (10162629)
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Keywords | 視交叉上核 / 体内時計 / サーカディアンリズム / グリア / GFAP / セロトニン / ノックアウト / 不眠症 |
Research Abstract |
体内時計を司る視交叉上核の神経核にはアストロサイトの骨格タンパク質であるGFAP(ghal fibrillary acidicprotein)が非常に高密度に発現している。実際GFAPの機能を止める薬物を投与すると、体内時計機能が低下したと言う報告もある。そこで今回、GFAPのノックアウト動物を使用し、サーカディアンリズム機構にどのような影響が出現するかについて調べた。明暗飼育条件下での活同量ならびに活動パターンにはワイルドタイプとノックアウトの間には差は見とめられなかった。次に恒暗条件かのサーカディアンリズムのフリーラン周期を調べた。その結果その周期にも両群間で差は見とめられなかった。このことから、恐らく体内時計の発振そのものにはGFAPは関与していないものと思われる。一方、恒常明条件下で飼育すると、そのサーカディアンリズムは消失しやすくなることから、GFAPはリズム形成に必要な細胞間カップリングに係わっている事が明らかとなった。そこで、正常動物を恒明条件下に飼育し、体内時計に係わっている視交叉上核や外側膝状体のGFAPの発現を調べたところ、GFAPの発現が視交叉上核で低下している事が明らかとなった。また、このノックアウト動物の縫線核のセロトニン神経活性を、セロトニンならびにその代謝産物をHPLCで測定する事により調べた。その結果ミュータント動物ではセロトニンの代謝回転が低下した。以前、セロトニン神経を低下させた動物は恒明条件下のフリーラン周期が長くなりかつ消失しやすいと言う結果が報告されており、今回の結果と非常に良く合う。また、GFAPノックアウト動物はセロトニン関連化合物による体内時計の位相変位作用にも異常をきたす事が分かった。本研究結果はセロトニン神経が関与しているうつ病、 睡眠覚醒リズム障害など、体内時計の不調のモデル動物としてGFAPノックアウト動物が有用である事を示唆した。
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[Publications] Akiyama, M.: "Inhibition of light-or glutamate-induced mPer1 expression represses the phase shuft into the mouse incadian locomotor and SCN firing rhythm" J.Neuroscience. 19. 1115-1121 (1999)
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[Publications] Moriya, T.: "Potentiating action of MKC-242, a selective 5-HTIA receptor agoinst, or the photic entrainment of the incadian rhythm in hamsters" Br.J.Pharmacology. 125. 1281-1287 (1998)
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[Publications] 柴田 重信: "概日リズムと細胞内信号" 生体の科学. (印刷中). (1999)
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[Publications] Hamada, T.: "NMDA induced glutamate releasl from a rat SCN in vitro" Neuroscience Letters. 256. 93-96 (1998)
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[Publications] Ikeda, M.: "Methyl cobalamine an phiftes melatonin induced incadian phose shifts by facilitation of anelatonin synthesis in rat pinerl gloud" Brain Research. 795. 98-104 (1998)
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[Publications] 柴田 重信: "記憶と生物時計" 科学. 68. 160-164 (1998)