1997 Fiscal Year Annual Research Report
実験レ-シュマニア症の治癒・非治癒機転における急性炎症関連分子の関与
Project/Area Number |
09470069
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
仙道 富士郎 山形大学, 医学部, 教授 (80091833)
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Keywords | レ-シュマニア症 / Leishmania major / 急性炎症関連分子 / 好中球枯渇 / BALB / cマウス / サイトカイン |
Research Abstract |
本研究は、これまで寄生虫感染症の発症期序ではほとんど考慮されなかった急性炎症関連分子に注目し、その役割を明らかにすることを目的とする。本年度は、治癒、非治癒機転における好中球の役割を明らかにするために、マウス好中球を選択的に枯渇させる単クローン抗体、Grー1を前投与したC57BL/6およびC2H/HeJ(治癒系)とBALB/c(非治癒系)マウス(Gr-1投与群)にLeishmania majorのpromastigoteをfootpadに皮下接種し、腫瘤の増殖態度に対する好中球装修飾の有無について観察した。なおGr-1のコントロール抗体として正常ラットIgGを等量投与したものをコントロール群とした。その結果、1)治癒系のC57BL/6およびC3H/HeJマウスでは、コントロール群およびGr-1投与群のいずれにおいても感染2ー4週目をpeakとする腫瘤増殖を呈し、7-10週目に自然治癒した。したがって、治癒系マウスにおいては好中球枯渇の影響は見とめられなかった。一方、2)非治癒系のBALB/cマウスでは、コントロール群およびGr-1投与群ともに観察した10週目まで腫瘤は増殖し続けたが、その程度は有意にGr-1投与群で大きかった。すなわち、コントロール群ではやく0%の増加であったが、Gr-1投与群では約160%にまで増加した。したがってこの結果は、非治癒系マウスでは、好中球がL.major感染初期の防御免疫反応において重要な役割を担っていることを示唆している。現在、免疫関連サイトカイン産生に及ぼす好中球の影響を明らかにするため、好中球選択的枯渇後にL.majorを接種したマウスにおけるIL-12やIL-4等の各種サイトカインの産生量を測定しているところである。
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