1998 Fiscal Year Annual Research Report
単純ヘルペスウイルス非必須遺伝子産物の性状と機能に関する研究
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09470083
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
西山 幸廣 名古屋大学, 医学部, 教授 (60115615)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大黒 徹 名古屋大学, 医学部, 助手 (80291409)
五島 典 名古屋大学, 医学部, 助手 (70201499)
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Keywords | 単純ヘルペスウイルス / 非必須遺伝子 / プロテインキナーゼ / US3 / アポトーシス |
Research Abstract |
単純ヘルペスウイルス(HSV)の非必須(アクセサリー)遺伝子産物の基本的性状、機能について検討し以下の結果を得た。US3プロテインキナーゼはこれまで細胞質に存在する酵素であると考えられていたが、感染中期にはむしろ核に存在することを明らかにした。単独発現させた場合には核と細胞質の両方に分布した。 マウスモデル系を用いて、US3欠損変異株のアポトーシス誘導について検討した。US3変異株は野生株では認められない角膜上皮細胞のアポトーシスを誘導した。この結果はUS3プロテインキナーゼがHSV感染細胞におけるアポトーシスの抑制に関与していることを示唆している。 機能の明らかになっていない以下のアクセサリー遺伝子の性状解析をおこなった。HSVのUL4、UL16、UL51、UL55、US2各産物に対する特異抗体を作製し、感染細胞においてその発現をウエスタンブロッティングで確認した。各産物の分子量はそれぞれ27K、40K、27〜30K、23K、39KDaであった。UL51産物は感染細胞内でリン酸化による修飾を受けるため分子量が増大することがわかった。さらに蛍光抗体法で各産物の細胞内局在を検討した。UL4産物は感染細胞では核に存在したが、単独で発現させた場合は細胞質に局在した。感染細胞では他のウイルス蛋白質と結合して核に移行するものと推測される。UL16産物は核では小さな顆粒状に、細胞質では全体的に拡散して存在することが確認された。またUL16産物にはDNA結合活性があることが示された。UL51は細胞質、とくに核周囲に多く局在した。一方、UL55遺伝子産物は感染細胞の核マトリクスに結合しており粒子の形成、成熟に関与している可能性が示唆された。US2遺伝子を不活化した変異株は培養細胞における増殖性、マウスに対する病原性ともに野生株と比べ大きな差は認められなかった。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Asano,S.: "US3 protein kinase of herpes simplex virus type2 plays a role in protecting corneal epithelial cells from apoptosis in infected mice." Journal of General Virology. 80. 51-56 (1999)
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[Publications] Daikoku,T.: "Identification and characterization of herpes simplex virus type 1 UL51 gene product." Journal of General Virology. 79. 3027-3031 (1998)
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[Publications] Jiang,Y.-M.: "Characterization of the US2 gene product and its defective mutant of herpes simplex virus type 2." Journal of General Virology. 79. 2777-2784 (1998)
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[Publications] Yamada,H.: "Characterization of the UL55 gene product of herpes simplex virus type 2." Journal of General Virology. 79. 1257-1264 (1998)
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[Publications] Oshima,S.: "Characterization of the UL16 gene product of herpes simplex virus type 2." Archives of Virology. 143. 863-880 (1998)
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[Publications] Goshima,F.: "Subcellular localization of the US3 protein kinase of herpes simplex virus type 2." Archives of Virology. 143. 1-10 (1998)