2000 Fiscal Year Annual Research Report
新しいG型肝炎ウイルスの遺伝子構造の解析と検出法の確立
Project/Area Number |
09470087
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Research Institution | JICHI MEDICAL SCHOOL |
Principal Investigator |
岡本 宏明 自治医科大学, 医学部, 助教授 (30177092)
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Keywords | G型肝炎ウイルス / GBV-C / HGV / RT-PCR / 慢性肝炎 / 肝癌 |
Research Abstract |
平成9年度からの過去3年間の研究成果を踏まえ、RT-PCR法によるG型肝炎ウイルス(GBV-C/HGV;以下HGV)RNAの高感度の検出法を用い、各種肝疾患でのHGVの感染状況を把握し、病態との関連性について検討した。 日本の慢性肝炎患者を対象としてHGV RNAを測定したところ、B型の83例では4%、C型の188例では8%、非B非C型の12例でも8%の陽性率であり、病因別のHGV RNA陽性率に差は認められなかった。また、HGV感染群と非感染群において、背景因子ならびに各種生化学的、ウイルス学的パラメーターに相違は認められなかった。HGVはインターフェロン治療に対して感受性を示したが、C型慢性肝炎患者におけるインターフェロン治療効果へのHGV重感染の影響は認められなかった。HGV肝癌症例を対象として同様に検討した結果、B型の23例では9%、C型の114例では10%、非B非C型の8例でも13%の陽性率であった。したがって、肝癌発症へのHGV感染の寄与は少ないと推察された。 4年間の本研究を通じて、HGVアジア株の全遺伝子構造を初めて解明するとともに、世界各地に分布する5種類すべてのHGVをPCR法により高感度に検出する方法を確立し、さらに国内外での各種集団でのHGVの感染状況を明らかにすることができ、当初の目標は達成できた。しかし、HGV感染と肝病態との関連については、現在、世界的にも否定的な見解に至ってきており、本研究においてもその関連性を積極的に肯定できる結果は得られなかった。しかしながら、HGVの肝炎病原性を示唆する報告もあり(特に急性感染例において)、ある特定のHGV株や突然変異によって生じた変異株が宿主の感受性の違いによって病原性を発現する可能性も否定できない。したがって、この点を念頭において今後も追求を怠らず、監視を続けていくことが重要であると思われる。
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