1997 Fiscal Year Annual Research Report
生体ウイルス感染細胞排除機構とウイルスによるその排除抑制機構の解析(C型肝炎ウイルストランスジェニックマウスを用いて)
Project/Area Number |
09470088
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Organization for Medical Research |
Principal Investigator |
脇田 隆字 (財)東京都臨床医学総合研究所, 放射線医学研究部門, 研究員 (40280789)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 信之 東京大学, 医学部・免疫学教室, 研究員 (80222115)
多屋 長治 (財)東京都臨床医学総合研究所, 実験動物研究部門, 研究員 (90175456)
田中 良和 (財)東京都臨床医学総合研究所, 放射線医学研究部門, 研究員 (50291159)
小原 道法 (財)東京都臨床医学総合研究所, 放射線医学研究部門, 研究員 (10250218)
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Keywords | HCV / トランスジェニックマウス / Cre / loxP |
Research Abstract |
ウイルスの病原性を解析するためには、適切なウイルス培養系、感染性のcDNAクローン、感染実験動物モデルなどが必要不可欠である。しかし、HCVにおいては、いずれも不十分な状態である。我々の研究グループでは、ヒトとチンパンジーにしか感染しないHCVの感染実験動物に代わる動物モデルを構築するために、確実に発現を切り替え可能なCre/loxPシステムを利用してHCVトランスジェニックマウスを作製し、肝臓でのウイルス感染状態を生体で再現する系を確立した。Creを発現する組み換え型アデノウイルス(AxCANcre)の経静脈的投与により、トランスジェニックマウスの肝臓にトランスジーンの再編成が効率よくおこり、ほぼ100%の肝細胞でHCV遺伝子の発現が可能となった。HCVコア、E1、E2の発現をウエスタンブロットと組織染色法で検出した。肝臓でのHCV蛋白質の発現に引き続き、血清トランスアミナーゼの上昇、血清HCVコア蛋白質が検出された。この急性肝障害はトランスジェニックマウスに有意に強くおこり、また遷延化する傾向にあった。トランスジェニックマウスの急性肝障害には炎症性サイトカインの上昇が伴っており、さらに、抗コア抗体が検出されたことから、HCV蛋白質に対する免疫反応の誘導がおこったと考えられた。CD4およびCD8陽性T細胞を除去することにより、トランスジェニックマウスの肝障害は正常化したことからもHCV蛋白質の直後の細胞障害作用は強くなく、宿主の免疫反応が重要であると考えられた。このHCVトランスジェニックマウスはHCVの病原性を研究するうえで有用な手段になると考えられた。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] Wakita,T.: "Efficient conditional transgene expression in hepatitis C virus transgenic mice mediated by the Cre/loxP system." Journal of Biological Chemistry. (in press). (1998)
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[Publications] Wakita,T.: "Antiviral effects of antisense RNA on hepatitis C virus RNA translation and expression." Journal of Medical Virology. (in press). (1998)
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[Publications] Tokushige,K: "Comparison between cytomegalovirus promoter and elongation factor-1 alpha promoter-driven constructs in the establishment of cell lines expressing hepatitis C virus core protein" Journal of Virological Methods. 64. 73-80 (1997)
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[Publications] Akiyama,H.: "Effects of cyclosporin A on hepatitis C virus infection in bone marrow transplantation patients." Bone Marrow Transplant. 20. 993-995 (1997)
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[Publications] Barba,G.: "Hepatitis C Virus Core Protein shows a Cytoplasmic Localization and Associates to Celular Lipid Storage Droplets." Proc.Natl.Acad.Sci.USA.94. 1200-1205 (1997)
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[Publications] Kamoshita,N.: "Genetic analysis of intemal ribosomal entry site on hepatitis C virus RNA:implication for involvement of the highly-ordered structure and cell type specific trans-acting factors." Virology. 233. 9-18 (1997)
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[Publications] 小原,道法: "Modern Physician" C型肝炎とG型肝炎検査法の進歩, 5 (1997)
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[Publications] 小原,道法: "南江堂" C型肝癌発生とウイルス増殖, 4 (1997)