1997 Fiscal Year Annual Research Report
有害化学物質(鉛を含む)に対する個体の感受性評価に関する研究
Project/Area Number |
09470102
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Research Institution | 佐賀医科大学 |
Principal Investigator |
友国 勝麿 佐賀医科大学, 医学部, 教授 (40032891)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
市場 正良 佐賀医科大学, 医学部, 助手 (60184628)
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Keywords | 鉛暴露 / ポルフィリン代謝異常 / 個人差 / 赤血球δーアミノレブリン酸脱水酵素 / 遺伝子多型 |
Research Abstract |
有害性の高い環境化学物質への暴露による健康影響の発現程度にはかなりの個人差が存在する.この個人差がいかなる宿主側要因によってもたらされるかを,本年度は特に鉛暴露を例に取り解析した.鉛に暴露されると特異的に且つ早期にポリフィリン代謝異常が発現するが,この発現の程度に赤血球δーアミノレブリン酸脱水酵素(ALAD)の遺伝子多型がどの様に関与しているかを分子疫学的手法により解析した. 対象者として,主に陶磁器関連の鉛取り扱い作業に従事している労働者(男73.女128計201名)を選んだ.これらの鉛作業者は,血液中鉛量から判断して,かなり低濃度の暴露群に相当した.ALADの遺伝子多型(1/1,1/2,2/2)はWetmurの方法に準拠して検出した.ポルフィリン代謝異常の評価指標には,赤血球ALAD活性の阻害度及び尿中δーアミノレブリン酸(ALA)排泄量を用いた.結果として以下のようなことが明らかとなった. 1.今回の鉛作業者(201名)におけるALAD遺伝子多型(1/1,1/2,2/2)の人数は,それぞれ168,32,1であり,2型遺伝子の頻度は0.085となった.どちらかと言えば女性の方が2型の頻度が高い傾向(女性;0.102,男性;0.055)を示したが有意差はなかった. 2.ALAD活性は1型群において高い傾向が見られたが,統計的な有意差は認められなかった. 3.尿中ALA排泄量に関しても,1型の方が高い傾向を認めたが,有意差はなかった.以上より,今回の低濃度鉛暴露群の解析では,個体差の宿主要因を明確にすることは出来なかった.今回は,高濃度暴露群において同様の解析を試みたい.
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