1997 Fiscal Year Annual Research Report
血漿カドミウムチオネイン:カドミウム腎障害発応機序に基づく新しい理想的なバイオマーカー
Project/Area Number |
09470103
|
Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
野見山 一生 自治医科大学, 医学部, 教授 (80048967)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
原田 章 関西労働衛生技術センター, 所長
政岡 俊夫 麻布大学, 獣医学部, 教授 (30063978)
櫻井 弘 京都薬科大学, 薬学部, 教授 (30065916)
横井 克彦 自治医科大学, 医学部, 講師 (10200883)
野見山 紘子 自治医科大学, 医学部, 講師 (70049039)
|
Keywords | カドミウムチオネイン / カドミウム / 腎障害 / バイオマーカー / メタロチオネイン / 臨界濃度 / アポトーシス / 酸化窒素 |
Research Abstract |
1 腎皮質のカドミウム(Cd)臨界濃度は曝露レベルによって異なる:30羽のウサギに0.3,1または3mgCd/kgの塩化Cdを連日皮下投与し,腎機能異常発症時に,ウサギを屠殺した。0.3,1,3mgCd/kg投与群の腎皮質Cd臨界濃度は275,296,222μgCd/g,カドミウムチオネイン(CdMT)臨界濃度は231,232,180μgCd/gで3mgCd/kg群が有意に低かった。CdMT/Cd比は87,88,85%で差はなかった。以上の結果から,曝露レベルが高いと臨界濃度は低下するがMT誘導能が低下するためではないことが分かった。 2 血漿CdMTの臨界濃度は曝露レベルが違っても一定:上記のウサギの腎機能異常発症時の血漿CdMTを高速液クロマト・原子吸光法(Jin et al,1994)で測定し比較検討したところ,曝露レベルにかかわらず,血漿CdMTが60-75μgCd/l以上になると蛋白尿(2g/gCr以上),糖尿(4g/gCr以上),アミノ酸尿(0.1mol/gCr以上)が発現した。以上の結果から,血漿CdMTの臨界濃度は60-75μgCd/lと推定された。 3 Cdによる肝機能異常発症機序(NOなど,Apoptosisとの関連):上記の試料を用い,京都薬大,麻布大で測定しているところである。 4 Cd作業者の血漿CdMTと腎機能との関連についての調査 関西労働衛生技術センターの協力を得て平成9年10月に試料を入手したが,誤って一時的に冷凍したために溶血してしまい,赤血球中のカドミウムチオネインが血漿中に多量に流出した。このため,血漿カドミウムチオネインを指標とする研究を行うことが不能となった。平成10年2月末に再度,血液試料を採取し,分析を行っているところである。
|