1997 Fiscal Year Annual Research Report
マグネシウムおよびカリウム欠乏による健康障害-安定同位体を用いた実験的研究-
Project/Area Number |
09470104
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
千葉 百子 順天堂大学, 医学部, 助教授 (80095819)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡辺 弘美 順天堂大学, 医学部, 助手 (20255657)
篠原 厚子 順天堂大学, 医学部, 講師 (90157850)
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Keywords | マグネシウム欠乏 / カリウム欠乏 / 微量元素 / 突然死 / 死亡率 |
Research Abstract |
過労やストレスが原因と考えられる突然死が東南アジアや日本でおきている。青年男子に発症例が多い。突然死の成因として慢性的なミネラルバランスの乱れにストレスが加わり、突然死の危険が増加するという仮設を立てた。すなわちカリウム(K)欠乏に加えて慢性的な低マグネシウム(Mg)状態が引き金となるという説である。動物実験を行い次の結果を得た。1.Mg and/or K欠乏状態にしたマウスの生存率:(1)8週令マウスにMgのみ欠乏食を与えても性差はない。6日後から26日後に全例死亡した。(2)8週令マウスにMg/K欠乏食を与えると2週間後に雄は全例死亡するが、雌は全例生存している。3〜4月令マウスでは雄は14日後から死亡しはじめ、23日後には全例が死亡した。雌は19日後から死亡しはじめ39日後に全例が死亡した。(3)6週令で生殖器官を摘出し、8週令からMg/K欠乏食を与えた雌雄マウスは14日後から死亡しはじめ、性差はなかった。2.8週令マウスにMg/K欠乏食を与え、1週間後に屠殺し、臓器中元素濃度を測定した。Mg欠乏食を与えているにも拘わらず心筋、腎臓中Mg濃度は対照と有意な差はなかった。骨中Mgは雌雄共に、肝、筋、脳中Mgは雄のみが有意に低値であった。K濃度は筋の雌雄、肝、腎の雄で有意に低値であった。肝中Ca,Mn,Cuの濃度は雄のみ有意に低値であり、Coは雌雄共に有意に高値、Moは雌雄共に有意に低値、Feは雌のみ有意に高値であった。3.肝中過酸化脂質の増加は雄で早期に観察された。 以上の結果からMg/K欠乏に対して若い雄が感受性が高く、恒常性維持機能が障害を受けやすいことを明らかにすることができた。そこでMgおよびKの安定同位体を使いこれら元素の体内代謝回転、性ホルモンレセプターとの関係を次年度に観察する。さらにNa-K ATPaseに対する低Mgの効果を介して細胞膜の透過性の変化、その結果として血管の緊張や攣縮などを誘発し、高血圧や虚血性心疾患等循環器系疾患発症が起こりやすい状態になると言う仮設を証明しようとする。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 千葉百子 他: "マグネシウム・カリウム欠乏が雌雄マウスの臓器中元素濃度抗酸化物質に及ぼす影響" 第17回日本マグネシウム研究会講演要旨集. 34 (1997)
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[Publications] Chiba,M.et al: "Effects of Mg and K deficiency on male and female mice" 1st International Conference of Asian Society of Toxicology. 94 (1997)