1998 Fiscal Year Annual Research Report
事業所検診成績の有効利用による脳・心血管事故の第一次予防-データベース作成とコホート内症例対照研究-
Project/Area Number |
09470112
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
豊嶋 英明 名古屋大学, 医学部, 教授 (10023657)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
朱 善寛 名古屋大学, 医学部, 助手 (10293705)
外山 淳治 県立尾張病院, 院長 (20023658)
川村 孝 名古屋大学, 医学部, 助教授 (10252230)
近藤 高明 名古屋大学, 医学部, 助教授 (00195900)
榊原 久孝 名古屋大学, 医学部, 教授 (80153873)
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Keywords | 職域コホート / 検診成績 / 高TC血症 / 脂質異常の既往歴 / 食習慣 / 満腹まで食べる |
Research Abstract |
愛知県内の職域集団11,323名に対して生活習慣アンケートを実施し、健診成績の利用についても説明と同意を得た男性7,858名、女性1,070名を、職域コホートとして1997年以後追跡している。本コホート中、悪性腫瘍登録者16名と、くも膜下出血による死亡者1名を除いた40歳以上の男性を対象として、血清総コレステロール(TC)値と食習慣との関係を検討した。血清脂質異常を既知の者は生活指導を介して、食習慣が既に変容している可能性がある。そこで対象者を、脂質低下薬を内服しているか、又は高TC、高中性脂肪、低HDLコレステロールを指摘されたことのある既往群(1937名)と、それ以外の非既往群(5543名)に分けて検討した。食習慣は主な食品の摂取頻度、嗜好、外食・欠食の頻度、摂取総量など13項目であり、喫煙・飲酒習慣、BMI、運動習慣、年齢も解析項目に加えた。これら項目を説明変数、高TC血症(220mg/dl以上)の有無を目的変数とするロジスティック重回帰分析を行った。全体では、高TC血症に対し「既往あり」がオッズ比3.44と極めて強い正の関連を示した。有意な正の関連を示した項目は牛乳摂取、年齢、BMI、家族歴であり、負の関連を示したのは卵摂取、野菜摂取、朝食摂取、喫煙歴であった。既往群では、牛乳、野菜の有意の関連が消失し、「満腹まで食べる」が高TC血症と負に関連した。BMI、年齢も全体及び非既往群では正の関連を示したが、既往群では関連しなかった。服薬ありは全体、既往群とも有意ではないが負の関連を示した。既往群で認められた「満腹まで食べる」の一見不合理な負の関連は、高TC血症者は満腹まで食べないようにしていると解釈するのが合理的であろう。同様の不合理な関連が認められた食習慣は、肉、卵、野菜、外食であった。これらは非既往群でも認められたことから、このような食習慣意識が広く行き渡っている可能性がある。これがどの程度行動変容を伴っているのか今後確かめる必要がある。
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