2000 Fiscal Year Annual Research Report
事業所健診成績の有効利用による脳・心血管事故の第一次予防-データベース作成とコホート内症例対照研究-
Project/Area Number |
09470112
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Research Institution | NAGOYA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
豊嶋 英明 名古屋大学, 医学部, 教授 (10023657)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
八谷 寛 名古屋大学, 医学部, 助手 (30324437)
玉腰 浩司 名古屋大学, 医学部, 講師 (30262900)
近藤 高明 名古屋大学, 医学部, 助教授 (00195900)
川村 孝 京都大学, 保健管理センター, 教授 (10252230)
榊原 久孝 名古屋大学, 医学部, 教授 (80153873)
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Keywords | 職域コホート / 脳・心血管事故 / 生活習慣 / コホート内症例対照研究 / インスリン抵抗性 / 高血圧 / 性差 / 体重変化 |
Research Abstract |
高血圧、高脂血症、糖尿病、脳卒中、心筋梗塞などの第一次予防を考える上で、どのような生活習慣がその発症に関与しているかを明らかにする必要がある。この目的のため、本研究は某地域の二つの職域に勤務する34歳から69歳の男性約7900人を対象に平成9年度より開始され、平成12年8月末時点までの約3年半の追跡の間に脳卒中9例および心血管事故(心筋梗塞、狭心症、突然死)19例の合計28例の脳・心血管事故発症を確認した。症例に対し、職域、年齢階級、喫煙、飲酒を一致させた対照を1:3の割合で無作為に抽出し、ベースライン時の生活習慣、健診成績、保存血清から新たに測定した項目について症例対照間で比較した。心事故例は運動習慣や精神心理状態から比較的活動的な生活を送っている者であった可能性が示唆されたが、食生活に関しては心事故、脳卒中ともに規則正しさや過食の抑制が対照群に比し不十分であると考えられた。また心事故例においては脂質、糖代謝異常、脳卒中例においては高血圧がそれぞれ特徴的に認められた。これらの同一個人内集積、そしてインスリン抵抗性は心事故例において特に重要な危険因子となっている可能性が示された。今後さらに詳細な分析を行っていくとともに、発症例の把握が不十分である可能性も示唆されたため、より悉皆的な発症の把握も本年より開始する計画である。また心事故例において特に重要な要因であることが示唆されたインスリン抵抗性の推移についても生活習慣との関連において調査していく予定である。 高血圧関連要因の性差についての横断研究からは、女性における高血圧と塩分摂取との関連が閉経前後で異なる可能性が示唆された。また20歳代からの体重変化と高血圧やマルチプルリスクファクター症候群との関連を調べた解析からは、若年時からの体重増加とこれらとの強い関連が明らかにされた。今後、女性の生殖歴等の把握、体重変化とインスリン抵抗性に関する研究も実施する計画である。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] 豊嶋英明: "いわゆるフィンランドパラドックス-コレステロールを下げることは死亡率を増やすか"循環科学. 18. 906-909 (1998)
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[Publications] 八谷寛: "職域大規模集団における健診成績のデータベース化とバイオマテリアル長期保存における生活習慣病の予防対策-高脂血症者における食習慣の変容に関する横断的解析結果-"協栄生命研究助成論文集. 15. 65-73 (1999)
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[Publications] 八谷寛: "事業所健診受診者を対象とした大規模コホート調査による心・血管事故発症要因の疫学的研究-食習慣と高血圧に関する横断的解析-"第45回社会厚生事業助成医学研究報告書. 88-90 (2000)
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[Publications] 豊嶋英明: "成人における循環器疾患:進展とその予防,その1:心疾患"循環器専門医. 8. 55-62 (2000)
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[Publications] 豊嶋英明: "産業保健における循環器疾患の一次予防対策"産業医学レビュー. 13. 155-182 (2000)