1997 Fiscal Year Annual Research Report
アジア系各集団DNAのMVR-PCRアリル分析に基づいた日本人起源の研究
Project/Area Number |
09470123
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
勝又 義直 名古屋大学, 医学部, 教授 (30109326)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 敏充 名古屋大学, 医学部, 助手 (50260592)
打樋 利英子 名古屋大学, 医学部, 助手 (20223571)
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Keywords | 集団遺伝学 / ミニサテライト / D7S21 / MVR-PCR / 日本人起源 |
Research Abstract |
本研究の初年度において、名古屋大学医学部における八木基金による海外研究者招聘制度により、中国公安部法科学研究所の棟松室長を招聘することができ、1カ月間の共同研究が実現した。そこで、中国人100名のDNAにつき、MS31A (D7S21)及びMS32A (D1S8)のMVR-PCRアリル分析を試みた。まず、アリル特異的PCRを行うため、この二つのローカスにおけるフランキング領域の三種類の多型の頻度を調査した。その結果、いずれのローカスにおいても中国人でかなりの多型が認められた。例えば、MS31Aでは三種類のフランキング領域の多型について、中国人の81.8%はいずれかの部位がヘテロ接合体となっており、アリル特異的PCRが可能であった。このアリル特異的PCRを利用して、中国人のMS31Aの120アリルをタイピングすることができ、その特徴を解析しつつある。中国人120アリルは1つとして同じことはなく、すべてがユニークなものであった。これまでの日本人アリルの分析からは日本人149アリル中16アリルが50リピート程度の短かいアリルであったが、中国人120アリル中短かいアリルは27と頻度が高かった。短かいアリルはコーカシアン人種や黒人種ではほとんど認められておらず、中国人と日本人に特徴的であると考えられる。その内部構造の分析によっても中国人と日本人の短かいアリルは極めてよく類似しており、中国人と日本人の近縁性を示していた。長いアリルについても中国人と日本人のアリルは部分構造がかなり類似しており、現在ドットマトリックス法により類似アリルをグループ化する方法で解析を進めている。次年度はさらにMS32Aなどの他のローカスのアリル構造の解析や他の民族との比較を実施したい。
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