1998 Fiscal Year Annual Research Report
細胞障害性ストレスに対する心筋細胞の防御およびその破綻の分子機構に関する研究
Project/Area Number |
09470161
|
Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
倉林 正彦 群馬大学, 医学部, 助教授 (00215047)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
世古 義規 東京大学, 医学部・附属病院, 助手 (30240708)
|
Keywords | CARP / アドリアマイシン / プロモーター / エンドセリン / TGFβ / p38 / Smad / 細胞外マトリックス |
Research Abstract |
【CARP遺伝子のクローニングと転写調節機序の解析】 アシキリン反復配列を含む核蛋白CARPの発現は、アドリアマイシンによって急激に減少し、細胞障害を鋭敏に反映する生化学的な指標と考えられる。そこで、細胞障害刺激による遺伝子発現調節機序を明らかにする目的でヒトCARP遺伝子をクローニングし、プロモーター機能を解析した。CARPプロモーターは心臓、血管内皮細胞、血管平滑筋細胞中にて強い活性を示した。 CARPプロモーターの転写活性は、転写開始点から-1.8kbまでの間に存在する多数の因子によって調節されること、-206〜+170の領域が基本転写に重要であること、この部位にはSp1の結合部位が存在することを明らかとした。また、-206〜+170の領域は、エンドセリン刺激にて10倍以上の活性亢進を認めた。また、p38経路の活性化を誘導するsmall G蛋白(Rac1)は、CARPプロモーターを強力に活性化した。同様にBNPプロモーターもp38MAPキナーゼ経路が重要であることを明らかにした。 【TGFβによるCARP発現の誘導】 心筋が傷害後により、アポトーシスに陥ったのち、線維芽細胞が増殖し、細胞外マトリックスが増加する。われわれは心筋線維芽細胞において、TGFβ刺激によってCARPの発現が経時的に誘導されることを観察した。TGFβが細胞表面の受容体に結合することによって、シグナル伝達分子Smadがリン酸化され、核内にSmadが移行し、遺伝子の発現が調節される。実際、Smadの発現ベクターあるいは1型受容体(TβR-1)の構成的活性化型変異体の共発現は、CARPプロモーター活性を上昇させた。したがって、CARPがTGFβシグナリングのメディエーターとして機能している可能性を明らかにした。
|
Research Products
(8 results)
-
[Publications] Ohyama Y.et.al.: "Molecular Cloning of Rat Klotho cDNA:Markedly decreased Expression of Klotho by Acute Inflammatory Stress" Biochem.Biophys.Res.Commun.251. 920-925 (1998)
-
[Publications] Saito Y.et.al.: "Klotho Protein Protects against Endothelial Dysfunction" Biochem.Biophys.Res.Commun.248. 324-329 (1998)
-
[Publications] Manabe I.et.al.: "Isolation of the embryonic form of smooth muscle myosin heavy chain gene" Biochem.Biophys.Res.Commun.239. 598-605 (1997)
-
[Publications] Kuro-o M.et.al: "Mutation of the mouse Klotho-gene leads to a syndrome resembling ageing" Nature. 390. 45-51 (1997)
-
[Publications] Kurabayashi M.et.al.: "Down-regulation of angiotensin II receptor type I in heart failure" Circulation. 9. 1104-1107 (1996)
-
[Publications] Suzuki T.et.al: "Preferential differentiation of P19 mouse nembryonal carcinoma cells into smooth muscle cells" Circulation. 93. 1244-1249 (1996)
-
[Publications] 倉林雅彦・永井良三: "実験医学:血管の構築" 羊土社, (1998)
-
[Publications] 倉林雅彦・永井良三: "細胞工学:動脈硬化はどうやって起こるのか" 秀潤社, 288 (1999)