1998 Fiscal Year Annual Research Report
新しい疾患概念「心ファブリー病」の遺伝子異常と発症機序の解明
Project/Area Number |
09470173
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
中尾 正一郎 鹿児島大学, 医学部, 助教授 (90155664)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
枇榔 貞利 鹿児島大学, 医学部附属病院, 講師 (50244231)
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Keywords | Fdbry病 / α-golactosiclase / 肥大型心筋症 |
Research Abstract |
肥大型心筋症例の中からFabry病を見い出すために血漿を用いてα-galactosidase活性測定を行った。その結果、α-galactosidase活性が高度低下を示すFabry病が新たに見つかった。患者の白血球からDNAを抽出し、PCR法にて増幅し、エキソン1〜7の塩基配列を決定した。その結果、α-galactosidase遺伝子に異常が同定された。その遺伝子異常は今まで報告のない新しい点変異でエキソン5のF229LとD231Vであった。それらのFabry病の臨床病態は肥大型心筋症と酷似し、古典的Fabry病に認められる被角血管腫、四肢末端痛、低汗症、角膜混濁などの全身症状を欠く心Fabry病であった。肥大型心筋症の中に診断されていないFabry病が存在することが再度確認できた。心臓障害を明らかにするために、心Fahry病10例で心機能と形態を検討したが、6例(60%)と高率に左室短縮率低下(FS26%以下)を認めた。その6例中2例では後壁基部の非薄化も認められた。冠動脈の狭窄はなく、局所的に障害が強い機序は明らかではないが、対象の肥大型心筋症84例では認められなかったことから、この所見は心Fabry病に特徴的と考えられる。またこれら10例で心筋病理所見を検討した。その結果、心筋横径は27〜45μmと肥大し、全例に空胞化がみられた。繊維化も全例に認められ、心筋障害を生じていることを示していた。蓄積はトルイジン・ブルー染色と電顕像で評価したが、すべての心筋に認められた。
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[Publications] 吉玉隆,中尾正一郎他: "Fdbry病を鑑別する" Heaut Vieuo. 2. 428-435 (1998)
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[Publications] 佐々木健,中尾正一郎他: "Fdbry病と心肥大" 循環科学. 18. 540-542 (1998)
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[Publications] 中尾正一郎: "心血管系に異常をきたす遺伝性代謝異常" Heaut Vieuo. 3. 298-301 (1999)
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[Publications] 中尾正一郎: "Fdbry病と肥大型心筋症" 心臓. 30. 753-756 (1999)