1997 Fiscal Year Annual Research Report
免疫担当分子の遺伝子及び機能の解析による免疫異常症の成因解明
Project/Area Number |
09470179
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
矢田 純一 東京医科歯科大学, 医学部, 教授 (60057502)
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Keywords | 高IgM症候群 / CD40シグナル / X連鎖無γグロブリン血症 / WASP / Wiskott-Aldrich症候群 / チロシンキナーゼBtk |
Research Abstract |
CD40刺激によりB細胞は、増殖、免疫グロブリンクラススイッチを起こす。伴性高IgM症候群の原因遺伝子はCD40リガンドであるが、多数症例での遺伝子解析を進め、患者で見られる遺伝子変異の種類と重症度との相関を示した。一方、女性高IgM症候群患者末梢血B細胞を抗CD40抗体とIL-4で刺激すると増殖とIgE産生が不良であることを見いだした。また、1例ではB細胞の反応は正常であったが活性化T細胞のCD40リガンドの発現がみられず、X染色体と14番染色体の相互転座により、CD40リガンド遺伝子が断裂していることを明らかにした。これらのことから、女性の高IgM症候群は、CD40シグナル異常、CD40リガンド遺伝子異常により起きることを示した。さらにCD40シグナルと免疫グロブリンクラススイッチとの関係を追求しているが、DNA二重鎖切断修復に関与する酵素を修飾することを明らかにしている。 X連鎖無γグロブリン血症(XLA)では、チロシンキナーゼBtkの異常により成熟B細胞の減少と血清γグロブリンの著名な低下をきたす。XLA患者末梢血中にわずかに存在するB細胞を用い、CD40シグナルへの反応を検討した。その結果B細胞は、Btkが存在しなくても抗CD40抗体とIL-4添加により増殖、IgE産生を起こしうることを明らかにした。先天性免疫不全症であるWiskott-Aldrich症候群(WAS)の責任遺伝子WASPは同定されているが、その機能は不明であった。我々は、WASPにPH domainが存在しPIP_2と結合すること、WASPがGrd2、Btkと結合すること、WASPを過剰発現させるとCOS細胞は活性化依存症にアクチンの凝集を起こすことを示し、WASPが細胞骨格の調節とシグナル伝達に関わる分子であることを解明した。
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[Publications] Toru,H., Kinashi,T., Ra,C., Nonoyama, S., Yata,J. Nakahata,T.: "Interleukin-4 induces homotypic aggregation of human mast cells by promoting LFA-1/ICAM-1 adhesion molecules." Blood. 89・9. 3296-3302 (1997)
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[Publications] Nonoyama,S., Shimazu,M., Toru,H., Seyama,K., Nunoi,H., Neubauer,M., Yata,J., Ochs,H.D.: "Mutations of the CD40 ligand gene in 13 Japanese patients with X-linked hyper IgM syndrome." Human Genetics. 99・3. 624-627 (1997)
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[Publications] Yoshida,K., Minegishi,Y., Okawa,H., Yata,J., Tokoi,S., Kitagawa,T., Utagawa,T.: "Epstein-Barr virus-associated malignant lymphoma with macroamylasemia and monoclonal gammopathy in a patient with Wiskott-Aldrich syndrome." Pediatric Hematology and Oncology. 14・1. 85-89 (1997)