1998 Fiscal Year Annual Research Report
免疫担当分子の遺伝子及び機能の解析による免疫異常症の成因解明
Project/Area Number |
09470179
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
矢田 純一 東京医科歯科大学, 医学部, 教授 (60057502)
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Keywords | Wiskott-Aldrich症候群 / WASP遺伝子 / HLAクラスII欠損症 / CD40リガンド / 高IgM症候群 / CD40シグナル |
Research Abstract |
Wiskott-Aldrich症候群(WAS)の責任遺伝子WASPの解析を約40例で行った。さらに従来特発性血小板減少症紫斑病と診断されていた中でWASP遺伝子の異常が証明できたものが約20例あった。これらの多くはミスセンス変異によるもので、血小板生成異常のみが前景に立ったため誤診されていたものと考えられた。WASの軽症例と理解すべきである。WASの保因者の中には血小板減少を示すものがあり、そうした者では血球のX染色体がrandomに不活化されていて、通常の保因者がnon-randomであるのと異なっていた。欠陥遺伝子をもつX染色体が不活化されなかった血球もWASPの異常が軽微なため発生しえたが、その血小板生成には欠陥があったため、このような現象が生じたものと考えられた。HLAクラスII欠損症ではCD4^+T細胞に抗原提示すべきHLAクラスIIを欠くためCD4^+T細胞の特異抗原に対する応答に不全が生じると考えられているのであるが、抗体産生にも欠陥がある。患者B細胞はIL-4と可溶性CD40リガンドを作用させると正常に抗体を産生した。一方患者T細胞をmitogenで活性化すると正常の増殖反応を示し活性化マーカーを発現したもののCD40リガンドの発現は不良であった。したがって、CD40リガンドの発現不全が抗体産生不全の成因と考えられた。患者でみられたCD40リガンドの発現不全は、T細胞を再度活性化した時には解消されているので、その欠陥はCD4^+T細胞が特異抗原に応答しえないため、多くのものがnaiveな段階に留まっていることによると考えられた。女性の高IgM症候群の成因としてCD40シグナルの異常を予想しているが、CD40刺激によりそれに会合してぃるKu分子のチロシン燐酸化が生じ、CD40から解離して核へ移行することを観察している。KuはDNA修復にかかわる分子であり、この分子とCD40シグナル異常との関係を検討中である。
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[Publications] Nonoyama,S.,Etzioni,A.,Toru,H.,Ruggerie,D.P.,Lewis,D.,Pollack,S.,Aruffo,A.,Yata,J.and Ochs,H.D.: "Diminished expression of CD40 ligand may contribute to the defective humoral immunity in patients with MHC class II deficiency." European Journal of Immunology. 28・2. 589-598 (1998)
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[Publications] Nonoyama,S.,Tsukada,S.,Yamadori,T.,Miyawaki,T.,Jin,Y.Z.,Watanabe,C.,Morio,T.,Yata,J.and Ochs,H.D.: "Functional analysis of peripheral blood B cells in patients with X-linked agammaglobulinemia." Journal of Immunology. 161・8. 3925-3929 (1998)