1997 Fiscal Year Annual Research Report
発育期の脳の可塑性におけるセロトニンおよびグルタミン酸レセプターに関する研究
Project/Area Number |
09470184
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
竹内 義博 京都府立医科大学, 医学部, 講師 (80188169)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森本 昌史 京都府立医科大学, 医学部, 助手 (10285265)
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Keywords | 可塑性 / セロトニン / グルタミン酸レセプター / NADPH-α |
Research Abstract |
グルタミン酸レセプターによるNO synthase(NOS)活性化機構の存在が最近明らかになったので、本年度はマウス脳内NOS含有ニューロンの正常分布およびセロトニンの分布との比較検討を行った。 成熟マウスを潅流固定し、クリオスタットにて脳前額断連続凍結切片を作製、抗セロトニン抗体・抗NOSynthase(NOS)抗体を用いて免疫組織化学を行った。neuronal nicotinamide adenine dinucleotide pholphate-diaphorae(NADPH-d)がNOSであることが証明されているので、免疫組織化学に供した隣接切片に対しmitroblue tetrazolium、β-NADPHを用いてNADPH-dの酵素組織化学を行った。 NOS含有ニューロンは分布密度の差異はあれ、ほぼ全脳に分布を認めた。細胞体に関しては、線条体や、magnocellular nucleus of the posterior commissure、pedunculopontine tegmental nucleus、laterodorsal tegmental nucleus等に多く認められ、線維終末は、上記部位の他に、bed nucleus of the stria terminalisなどにも高密度の分布を示した。 セロトニン線維、NOS陽性線維とも高密度に分布していたのは以下の部位である。 (1)medial anterior olfactory nucleus (2)medial septum nucleus (3)nucleus of the vertical limb of diagonal band of Broca (4)median forebrain bundle (5)subformical organ surrounding the third ventricle (6)ventrolateral geniculate nucleus (7)dorsal raphe nucleus (8)reticulotegmental nucleus マウスのNOSニューロンの分布は過去に示されたラットにおける分布と差異があることが確認された。セロトニン線維・NOS陽性線維ともに高密度に分布していた個所は、2系路のセロトニンニューロン系、すなわち、dorsal raphe nucleus(DRN)を起始核とする系とmedian raphe nucleus(MRN)を起始核とする系のうち、DRN起始の部位が多い。これは、2系間にはvulnerabilityの差異があり、低酸素・加齢・アルコール・アンフェタミン投与といったinjuryに対し、DRN起始の系に含まれるセロトニンニューロンの方がMRN起始の系に比べ障害を受けやすいという報告(Nishimuraら)と共に、NOがneurotoxicな面をもつという過去の報告を考慮すると、非常に興味深い。 来年度はthiamine deficiencyにおけるセロトニン系、NO系、NMDA receptorの動態を免疫組織化学法・酵素組織化学法により検討し、さらにNMDAレセプター・アンタゴニスト(もしくはアゴニスト)の選択的投与によるセロトニン系、NO系の動態も追究する予定である。
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