1999 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝性銅代謝異常の病因・病態と銅輸送蛋白の役割および新しい治療の開発に関する研究
Project/Area Number |
09470187
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Research Institution | Toho University School of Medicine |
Principal Investigator |
青木 継稔 東邦大学, 医学部, 教授 (50057585)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
逸見 仁道 東邦大学, 医学部, 助教授 (90165514)
山口 之利 東邦大学, 医学部, 講師 (30277339)
清水 教一 東邦大学, 医学部, 講師 (60256740)
内山 利満 東邦大学, 医学部, 教授 (50057709)
嶋武 博之 東邦大学, 医学部, 教授 (40010110)
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Keywords | 遺伝性銅代謝異常症 / Wilson病 / ATP7B / 遺伝子解析 / 銅特異的ATPase活性 |
Research Abstract |
1.Wilson病の遺伝子解析と臨床応用 日本人Wilson病症例23例におけるATP7B遺伝子の構造解析を行い,変異を同定・確認した.日本人に多い遺伝子変異は,2874delCが30%,R778Lが25%,そして2302insC,2662delGおよびA875Vがそれぞれ7.5%であった. 日本人症例に対する遺伝子解析および遺伝子診断は,これらの変異を先に検索することにより,効率よく行えると考えられた. 遺伝子解析にて確定診断した乳児Wilson病症例の両親・同胞(2名)に対し,遺伝子解析を施行した.両親と同胞の1人が片方のalleleのみに患児と同じ変異を認め保因者と,もう1名の同胞は両方のalleleに変異を認め本症患者と診断された.なお,これら保因者の血清セルロプラスミン値は正常であり,遺伝子解析にてのみ保因者であることが診断可能であった.乳児,幼児期早期および保因者の診断には遺伝子診断が有用であると考えられた. 2.ATP7Bにおける細胞内銅輸送機構の解明 銅負荷によるATP7B蛋白の発現・局在の変化を検討した.高濃度の銅の存在下においても,蛋白の発現量に変化はみられなかった.しかし,その局在はTGNからpost Golgi vesicular compartmentに変化していた.また,その後の銅除去により,再びTGNに戻ることが認められた.通常TGNに存在するATP7B蛋白は,銅が細胞外より入ってきたことにより,それと結合し輸送小胞をつくって銅を輸送するのではないかと推察した.
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Research Products
(16 results)
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[Publications] Aoki T: "Feature Articles : Wilson's disease and Menkes Disease"Pediatrics International. 41. 403-404 (1999)
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[Publications] Yamaguchi Y,Aoki et al: "Mass screening for Wilson's disease"Pediatrics International. 41. 405-408 (1999)
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[Publications] Shimizu N,Aoki T,et al: "Molecular analysis and diagnosis in Japanese patients with Wilson's disease"Pediatrics International. 41. 409-413 (1999)
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[Publications] Shimizu N,Aoki T,et al: "Treatment and management of Wilson's disease"Pediatrics International. 41. 419-422 (1999)
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[Publications] Sakamoto M,et al: "Intracellular localization of the Menkes and Wilson's disease proteins and their role in intracellular copper transport"Pediatrics International. 41. 436-442 (1999)
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[Publications] 坂本真理子,青木継稔ほか: "細胞内銅濃度変化のATP7Aの細胞内局在に及ぼす影響について"Biomed Res Trace Elements. 10. 203-204 (1999)
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[Publications] 清水教一,青木継稔ほか: "Wilson病における効果的なATP7B遺伝子変異同定の方略に関する研究"Biomed Res Trace Elements. 10. 205-206 (1999)
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[Publications] 清水教一,青木継稔ほか: "Wilson病に対するtetrathiomolybdate(TTM)の除銅機構に関する検討"日本小児臨床薬理学会誌. 12. 71-73 (1999)
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[Publications] 山口之利,青木継稔: "Wilson病"小児科診療. 62. 538-540 (1999)
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[Publications] 清水教一,青木継稔ほか: "Wilson病のTTM療法"小児科. 40. 1246-1250 (1999)
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[Publications] 青木継稔: "ウイルソン病治療と患者QOL"日本医事新報. 3939. 26-32 (1999)
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[Publications] 山口之利,青木継稔: "Wilson病,銅輸送膜蛋白の発見と病態"医学のあゆみ. 190. 844-848 (1999)
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[Publications] 青木継稔,清水教一ほか: "遺伝性銅代謝異常,ウイルソン病とメンケス病"JJPEN. 20. 87-94 (2000)
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[Publications] 坂本真理子,青木継稔ほか: "遺伝性銅代謝異常症と細胞内銅代謝機構の最近の進歩"小児科. 41. 225-234 (2000)
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[Publications] 青木継稔: "Wilson病の薬物療法"薬事新報. 2090. 17-25 (2000)
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[Publications] 青木継稔,清水教一ほか: "ATP7BとATP7A"Clinical Neuroscience. 18. 328-329 (2000)