1997 Fiscal Year Annual Research Report
生体脳における新規情報伝達機能画像の創製とその応用に関する研究
Project/Area Number |
09470202
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
井上 修 大阪大学, 医学部, 教授 (50159969)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
原田平 輝志 放射線医学総合研究所, 高度診断機能研究ステーション, 主任研究官 (50181029)
鈴木 和年 放射線医学総合研究所, 高度診断機能研究ステーション, 第1ユニット長 (90162932)
細井 理恵 大阪大学, 医学部, 教務職員 (30291446)
小林 薫 大阪大学, 医学部, 助手 (90256933)
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Keywords | 生体脳 / 受容体 / ドーパミン / アセチルコリン / ベンゾジアセピン / PET / SPECT / 速度定数 |
Research Abstract |
本年度はドーパミン受容体、ムスカリン性アセチルコリン受容体、ベンゾジアゼピン受容体をそれぞれ、測定対象として、構造の異なる2種類の標識リガンドの生体脳における結合特性の比較検討を行った。ドーパミン受容体については^3H-ラクロプライド、^3H-NMSPの結合-解離速度(kon,koff)が、種々の薬物負荷により著明に変化すること、およびその変化の程度は一般的にはNMSPの方がラクロプライドと比較して大きいことが判明した。例外的にoxotoremorineでアセチルコリン系を賦活するとラクロプライドのkoffが著しく小さくなり、神経系を介した間接作用に対する感受性が高いことが判明した。一方、種々のドーパミン系に作用する薬物に対する競合阻害反応においてはラクロプライドの方がNMSPと比較して感受性が大きく、相対的に高い受容体占有率として観測されることが判明した。同様の現象は^3H-フルマゼニールと^<125>I-イオマゼニールにおいても認められ、フルマゼニールの方が直接的作用に対してはより感受性が高く、逆に間接作用に対してはイオマゼニールの方が感受性が高かった。またアセチルコリン受容体との反応に関しても^3H-QNBと^3H-NMPBとの間に同様の乖離現象を認めた。これらの知見を踏まえて、2種類の標識リガンド併用による各パラメータイメージの作成法につい基礎検討を行った。これらの新規パラメータ画像は、生体脳における神経系の相互作用の解明や、将来のPETによる脳の情報伝達系の解明やその機能異常の検出に有用であることが予測された。また、QNBとNMPBについては分子軌道法を用いて電荷分布を中心とした解析を行った。
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